大理石の風貌を纏った宗教論者たちが多い北西部において、このオレンジは紅一点。
ランケルの碧さよりも、目立ってるかも。
ファフィレンティアの令覧だけど、本当は、北西部の令覧。
響きがいいから、みんなオレンジ色の名前だと勘違いするけど、れっきとした役職の名前。
それも、本来は、「北西部を覧じて、令す」という最高指導職。
ランケルが就くべき役職。
それ就任に対して、彼が硬化したので、マネージャーであるレイテが、代わりになってあげた。
彼女の本名は、レイテ・シフ・ロイゼン。
北西部には異例で、名前が最初に来る。
これは、南部地方と同じ型の名前。
彼女の表情も、黄色系の、彫浅、平顔。
目鼻立ちが整っているし、影もなく、そのままの美しさを反射する素顔なので、彫り込んで美しさを刻みつける白色系の婦人方においても、異例の存在。
それ以前に、すでに異例。
というのは、スカートを稀にしか履かない。
業務中、プライベートを問わず、彼女がスカートを履いているシーンを見た者は少ない。
あの饗応においても、ドレスズボンのスラックス。
それも、かなり珍しい。
というのは、彼女が好んで履くのはテーパードパンツかワイドパンツ。
「あたし、もも太いから」というが、その実、肉付きのよい足つきをしていることは、前回の異例のスラックス・バージョンで判明。
趣味と言うか、好みが北西部のご婦人方のものよりも、男性のそれに近いかもしれない。
「動きやすいから」と言って、ズボンをよく履いてるが、スカートも十分に動きやすいことを考えても、彼女が北西部の一般的なご婦人方に比べて異例であることがわかる。
そんな異例な彼女は、令覧に就いてからも、その一切を執り仕切ることはしなかった。
令覧としては、異例。
数々の重要事項を決済するのが、令覧の役目だから。
まだ、17歳の少女にそれは重すぎるだろうけど、彼女の勝気さは、それに見合うような気がしないでもない。
今回の朝食フルコースにしても、彼女が発案し、シェフたちやスタッフを巻き込んで、そのまま実行に移している。
このテキパキさで、令覧色に浸っていればいいものを、彼女はそれをしない。
必ず、ファフィレンティアと神父たちの意見を元に決裁した。
前回の北西部の件にしても、彼女は事態が暴騰しても、自身の意見を言わなかった。
それは、ランケルでさえ、自身の意見が言えなかった異常熱を顧みてのことだったのかもしれないが、大体のことについて、彼女は令覧としてよりも、マネージメントに回った。
平素、勝気なレイテにしては、珍しい役回りである。