実況
「なるほど、エザーヌにはまだ、青い息吹が立ち込めていたんですね。
・・・・その少年もバート氏が生前、目を掛けておられたのですかな?」
幹部
「・・・・うむ。
少年世界選手権の決勝にまで、舞い昇っていた少年だ。
・・・・見初めたことのある人もいるんじゃないかな?」
実況
「あ~、なるほど。
小剣をたゆたわせていた彼ですね。
あのイグ・・・っとっと、もう一人は、カイヤ君と言いましたかね。」
幹部
「・・・ああ、彼のことは、まだ、名前を出すには、早すぎるからね。
君もさすがに、知ってるね。」
実況
「いや~、さすがに、美しいバラにはトゲがあるといいますし。
その中でも、青白いバラは貴重。
その美しさを閉じ込めるために映像にしたくても、所有権の冷視は利いていますからね。
・・・・今はあの家の塀から覗かれる顔色と、睨めっこするしかありませんかな。」
幹部
「・・・・バート氏も、そう言っていた。
『今は、見守る時期だと。』
そのために、彼はその後も、足しげく、少年・世界選手権の花壇に通っていた。
・・・・私も最近、同じことをしてみた。」
実況
「・・・・なるほど。
それは、やはり、今回の第五次作戦を開花させるためには、青果の花を添える必要があったからでしょうか?」
幹部
「・・・うむ。
色々あってね、エザーヌの底を流れてきた花びらの軌跡を辿っていた。
だが、その清流は、どこまでも澄んでおり、残るものなどなかった。
・・・・だから、その流れる様を、この目で確かめてみることにしたのだよ。」
実況
「で、心象はやはり・・・・・。」
幹部
「・・・・うむ。
どの場面においても、綺麗だった。
・・・・一般的に、手合いの際、小柄であることは、リーチの差もあり、遜色のあるものなのだが、彼の場合、泉さえ香る瑞々しい舞いで、局面を花開かせていた・・・・。」
実況
「・・・・確かに、彼の花模様は、世界選手権でも、観衆の視線を釘付けにしていましたね。
戦闘を舞いで彩る嫋やかさは、バート・エレス戦の火花とは、一線を画す鮮やかさでありました・・・・・。
・・・・花の名をここでは明かせないことが、実に惜しい。」
幹部
「・・・いい花言葉だ。
そして、我々が、陽を差さなくても、彼は白く咲いてきた・・・・!
・・・・その煌めきを尊重したいと、私は思い始めたのだよ。」
実況
「・・・・エザーヌに咲いた白き華、とでも言いましょうか。」