本当なら、父を愛していた。
あんなに、立派な人もいなかったから。
努力というものの価値を実践しくれた。
セインの才能に、誰よりも気付いてくれていた。
膨大なソール、それを支える頭脳。
やさしい切れ長の線は、最高度を照らす金脈であることを。
だから、厳しいことも理解していた。
しているつもりだった。
だから、擦り減るしかなかった。
回復魔法を使うことを、喜んでくれなかったから。
最高度のレンガを積み上げる作業をわずか、7歳で要求されたセインには、疲れて眠りにつくことがやっとだった。
そういうとき、父は、なにも言わなかった。
でも、そうやって団欒をやり過ごすしかない自分がそこにいたことも、幼いながらに気付いていた。
ちょっと、大きすぎる赤ん坊かもしれないけど、子供なんだから、許してほしい。
いつも、粉ミルクなんて、さみしいよ。
僕はまだ、バブーって、言ってたいんだ。
怒られるからさ、父さんの前では、言えなかったけど。
僕はもっと甘えたいのにょだ。
だから、最高度を降りることにしたんだもん。
父さんよりも、テキウスの方が、甘えさせてくれたもん。
ちょっと、物騒なチャンバラを二人でしあって、最後は、かわいかわいしてくれたもん。
おまけにきれいだったから、母さんにも思えちゃった。へへ。
わがまま言っても聞いてくれたし。
むしろ、一緒に付き合ってくれたんだもん。
バブー!
それに、シュマイツァーの方が、話を聞いてくれたもん。
魔法の話をして、一緒に地中に埋もれて迷子になることもあったけど。
机の中にいろんな引き出しがあること教えてくれたし、そこから、ちょうどいい道具を見繕ってくれたりもしたんだぞぅ。
父さんも見習ってほしいにょだ。
エザーヌのジャングルに落ちたときは、下水道で、ハルキが拾ってくれたし。
汚いなって、最初は引いてたけど、うんちして、お尻を拭かない痛快さを教えてくれたのはハルキだもん。
“野郎なんて、汚水処理場と変わんねぇぜ。”なんて。
でも、自分だけ、お尻ふいて、女の子に会いに行くからずるかった。
プン。
僕にもキーアやハウミみたいなかわいいガールフレンドいるもんね。
負けないもん。
父さんだって、こんな綺麗なガールフレンドに囲まれたことはないはずなんだ。
そのガールフレンドは僕の話、じっと聞いてくれて、お尻についたうんちも吹いてくれるんだ。
あ、でも、キーアはチリ紙渡して、おしまいだけど。
ハウミはなんか、お姉さんみたいに、拭いてくれた。
今も、拭いてくれるのかな。
話は聞いてくれるし、励ましてくれるけど、おっきくなりすぎたからな。
どっちだろ。
どっちでもいいや。
僕は父さんじゃ、巡り合えないような、こんなに若くて、かわいい子に囲まれてるんだ。
へん!
最高度なんて、落ちてやったよ。
キーアや、ハウミが受け止めてくれるんだもん。
バブーって。
みんなの胸で受け止めてもらったもんね。
父さんなんかに、負けないんだもん。
僕は、セイン。
父さんは、ヴェセラン。
僕が大好きなものに巡り合わせてくれた人。
本人が知らないだけ。
だから、あとで、最高度評議会で、みんなを侍らせて、驚かせてやる。
アッカンベーだ。
バブー!