ソール・シップ二号に、こびりつく腕。
六本の指を有し、方程式にできない執拗な動きを、ボウフラさせる。
まとわりつくのは拳なのか、平手なのか、横手なのか、嬲り手なのか、
どこをもって寄せ手、攻め手、搦め手なのか。
世界中で、利用されている手口を、無秩序に再放送しているらしく、各腕に聞いてみなければわからない。
レア・メタルと土を混合したような、ハイテクとも、原始的とも線引きできない、からみつきが入り乱れる。
暗き空においては、至るところで暗闇に座礁させられ、打ち付けられ、シップの灯台には、その残骸がうごめく姿しか確認できない。
泥にも似た雲の中で、ナマズのように這いつくばり、ゾンビのように、不死身に再生を繰り返す。
餓鬼の腕を日々、虫眼鏡で拡大化させて見るような、腐臭さえ漂わせる惨殺劇。
死滅する大地に押し戻そうと、嫉妬と保身欲に凝り固まった、亡者の群れ。
強大に張り巡らされた卵殻の情念は、空からの羨望の一切を、産声達と隔絶する。
そのたびに、醜い金切り声や罵声を浴びせる敗残者達。
胎動する受精卵の動きをそのままに、線引きする開拓者。
組織に依存し、執着し、考える術さえ失った、非正規雇用者達。
フリーダムに更ける日々を謳歌する、フレッシュな箱舟。
死刑処分を下されても、呂律の回らない生き様を見せ、名誉も見栄も、高笑う、やけっぱち。
前途に新たな仕事を売り込みに行く、気鋭の船出。
身ぐるみを求めて、這いつくばる略奪者たち。
裸一貫のオーラで、突撃して行く無謀者達。
「お前も叩き落してやる」と、退職届をチラつかされ、焦る復讐者。
「邪魔するな」と、圧倒的な力で押しのけて行く、簒奪者。
「オラの領分に入るな」と、根こそぎ切断されても、叫び続ける遠吠え。
出る杭を打つ所業に、抗っていった、出過ぎた杭。
領分を占領されても、追いすがる狂奔者。
引っ張られる後ろ髪も、袖やえりも、元々存在しない、ツルピカ君。
無論、暗き空で、どんな仮装も、歌舞伎も、入場料をせびれないが、それにしては惜しい優勝劣敗、適者生存、「それでも生きて行ける」の喜劇。
ダウン・フィールドの人々が、このような上映を目撃すれば、双方の遊泳術に、関心してしまうかもしれない。
脚光を浴びることで、さんさんと輝きだすツルツル君の眩しさに、思わず破顔してしまうだろう。
しかも、スポンサーがエザーヌであることを知れば、その肝っ玉の、これ以上にない宣伝になることは請け合いであろう。