キトル・レアは忽然として、灰色に覆われた。

 

空は、その意思を考慮されることもせず、強制的に灰色に覆われ、誰も近づきようのない、有毒性の封印を施された。

空を流れる灰色の奔流は、微妙に、それでいて、急速に盛り上がり、人知の及ばない速さで今も世界を覆おうと意思を止めない。

溢れる轟音たちは、弄ばれた地上の怒りを伝え、数値化されたキトル・レアにおいてさえ、人々を恐怖させた。

落下される、意味の廃れきった灰色には、退廃しきった青空の亡骸が残留していた。

動きもせず、匂いもせず、人々の感情を受け止めもしない、それでいて、絶望の揺らめきと悪臭とを、人々に刻印するには、これ以上の老廃物もない。

 

空は人々の味方であったかもしれない、空は人々をやさしく包んだかもしれない、空は人々に希望を抱かせたのかもしれない、だが、そのような感情はひと時の者でしかなかったのかもしれない。

元々、この大地に空などあるわけもなく、あるのは、途切れることのない灰色だった。

通常は、水蒸気がその役割の源泉であったが、今では、それも力尽き、灰と化している。

 

また、そのような無機質な死骸を象徴するかのように、徘徊する黒きゴーレム達。

見開くことも、嘆くことも、笑うことも、激怒することもなく、ただ歩き続ける無機質な壁。

言えることは、その激震の音は大地の怒りさえ、踏みにじり、人工的に人々の気持ちを逆撫でる。

それでいて、人々を襲うようでもなく、檻のように、町の周辺を覆い続ける。

随所に立ち込める黒光りは、害虫を模したものにしては、巨大すぎた。

かつてないものが現れた抵抗感は、人々に強烈な不快感を与えた。

 

もし、このゴーレムが徘徊する姿を、これからのキトル・レアの健全な姿だとすれば、人類とは、どれほど、無欲な存在であろうか。

喜怒哀楽の写らないこのような大地で、人々の心を魅了するような大発明や芸術品は生まれるのか。

少なくとも、力なく、ずり落ちる灰と、無感情に漂い続ける巨人の姿には、人々がかつて、連想したような希望は抱かなかった。

 

そう、テキウス・レーナは今、どうしているのか。

 

この世界における唯一つの希望の存在は、今も、人々の震央を鳴動させ、魅せられること、果てしない。