それはそれとして。
セイン
「・・・・・その人がすごいってのは、よくわかる。
でも、技術の確立が、装置の発祥を意味するわけではないんだ。
例えば、原子力に関しては、装置は発祥していても、未だに技術的トラブルを抱えたままだ。
だから、制御装置がいつごろから始まったのかは、その人の事実だけでは、断定できないかな。
ちょっと。」
こういう、“確証がない”という、シュマイツァー辺りの名言として出てきそうなことを、セインも通常レベルで言う。
卓抜した「予知能力」に恵まれながらも、それに甘んじないところが、テキウスら隊の面々が、セインを必要としている理由でもあった。
そういった点、キーアも冷静である。
「そうね。
お父さんも、お兄さんも、そういったことは言ってなかったわ。」
これで、「希望神のもたらした知識」については、話が終わった。
だが、そう言いながら、キーアは、視線を上目遣いに宿した。
ハルキは、それがキーアの、事の真相に触れる前の、駆け引きとしての間であることを、知っていた。
そうでありつつも、小柄なキーアのその間には、どこかで愛らしささえ、漂っている。
そして、それさえも、計算に入れて、間を入れていることを、ハルキは知っている。
知らないのは、セインぐらいか。
彼は、またしても、赤ん坊のように、そういったキーアに見入ってしまう。
キーアのそういう間が、実はセインは大好きであった。
もう少し言えば、冷静な現実処理能力と愛嬌とのギャップが、セインをさらに惹きつけた。
そして、セインのこの無垢すぎる視線は、キーアを逆に虜とした。
どっちが主導しているのか。
いずれにしろ、事実は、流れた。
キーア
「・・・・あたし、実は、お兄さんから、大事な物をもらってるの。
「女が持っていた方が安全だから」って渡されたんだけど・・・・。」
そう言って、身に着けていたネックレスを差し出した。
そこには、白と青緑色で彩られた、美しき豊潤が漂っていた。
家宝というより、宝石に見える。