確かに、ソールを扱う技術において、テキウスは、このキトル・レアにおいて、卓越していた。
唯一、追随できるとすれば、それはエレス位だろう。
テキウスの最高度のソール制御術をもってすれば、元老に付け入れられる隙も無いだろう。
でも・・・・。
ハウミは、泣きたくなるような表情になりそうな、自分を懸命にこらえた。
今や、ソールの爆発力なら、セインの方が上なのである。
だが、テキウスは、彼が利用される可能性を考慮に入れて、自身をその先駆とした。
いや、そういった自己犠牲の概念でさえなかったかもしれない。
それは、テキウス一個の、強烈な前衛精神、とでも言うべきであろうか。
“闘う意思のない者に、手を貸す気はない。”
そういった不文律を、自分自身に強烈に課しているのが、テキウスであった。
それゆえに、待つことなど、できなったに違いない。
現に、待てるような余裕も、ダウン・フィールドにはなかった。
それほど、エネルギー不足による荒廃が進んでいた。
半面、戦えない者を必死で庇うテキウスのやさしさが、セインの到着以前に、ロット・フレールの再構成の挙に出るという、先走りに陥らせた。
“もう、これ以上はやめて欲しい。”
そういった声も、表情さえも出すまいと、必死でこらえるハウミ。
自然と、目を背けてしまわざるを得ない。
だが、やはり、そういう時も、テキウスは優しかった。
テキウス
「・・・・ハウミ、何度も言わせるな。
僕は無敵だ。
ロット・フレール如きに負けはしない。」
テキウスの強がり。
そういうときは決まって、単なる負けず嫌いか、ハウミを安心させるためであった。
この場合、両方といってもいいかもしれない。
現に、不覚ではあるも、こういった言葉を言ってくれるテキウスに、若干の安堵を感じていることも否めない。