ハウミ

「セインやエレスがいれば、もっと違うのにね・・・・。」

 

 

そのつぶやきが、意味をなさないものであることは、ハウミにもわかっていた。

 

テキウスも、そんなハウミの気持ちを理解した。

そして、彼も今、ハウミに言える精一杯の言葉を放った。

 

 

テキウス

「大丈夫だ。

僕はそんなにもろくない。

それに、医者も『すぐに死ぬ』とまでは言ってなかったさ。」

 

 

『テキウスの強がり』、幼い頃からハウミは、この根拠のない台詞が好きだった。

 

 

ハウミ

「性格悪いものね。

あなた。

 

・・・・・セインやエレスに、しょっちゅう、そのことを突っ込まれてたもんね。」

 

 

裏返しに、からかってみた。

 

 

テキウス

「失礼な。

これでも能力的にも人格的にも、バランスが取れてるんだぞ。

お前も少しは理解しろ。」

 

 

ハウミは笑みをこらえた。

能力的にはともかく、人格的にバランスが取れているとは、絵に描いたモチであると思った。

 

 

ハウミ

「・・・・そういえば、エザーヌのハルキって人はどう?

硬軟入り混ぜた感じで、彼が加わってくれたら、実戦指揮は一手に任せられると思うんだけど。」

 

 

テキウス

「・・・・・そうだな。」

 

 

相変わらず、細かいところまで、人を見ている女だと思った。

思えば、そういった彼女だったから、つい油断して、吐血してしまったのかもしれない。

 

 

いずれにせよ、こういう会話ができることが、生きている強さというものであろう。

 

 

テキウス

「・・・・確かに、あいつがくれば、ずいぶん楽になるな。

 

そういう意味で、あいつはバート以上の大物かもな。

シャン・タインとの戦いを後で見たが、根性もある。

 

僕が鍛えれば、さらに化けるな、あれは。」

 

 

ハウミはまたして笑いを含んだ。

結局、『テキウス次第』に話が持ってかれているからである。

 

英雄とは常々、自己中心なものが多い。

 

テキウスはいい意味でそのカタマリであると、ハウミは思った。