私の住んでいる東村山市(東京都)の家の近くには、作家藤沢周平になる前の若い頃に彼が一時期病気療養のために滞在していた療養所の跡があり、そばを流れる用水路の辺りは療養していた人たちの散歩道として親しまれていた。

 

 当時を知る人が書いた手書きの地図には、「用水のふちにアヤメ・ショウブが花を咲かせていた。」 と書き込まれている。

 

 用水路には今もいろいろな花が咲ききれいな水が流れているが、こうした歴史の一こまを知る人は少ないだろう。

 

 写真はおそらく藤沢も歩いたろう中橋で、橋の向こうにはいまキショウブが咲いている。丁寧なレンガのアーチになっているが下流側から見ると下の写真になる。おそらく道路の拡幅に伴い橋も広げた結果こうなったのだろう。それにしても何という雑な造りなのだろう。

 

 藤沢が歩いた頃はどちらから見てもレンガのアーチだったのではないだろうか。こんなところにも小さな歴史が潜んでいた。

 

 かつて書いた 「藤沢周平と俳句(病気療養の頃)」 に散歩道のことも書いたのでリブログします。