生誕100年のユージン・スミスの写真展を見た。
 
     これは代表作の一つ 「楽園への歩み」(1946年)である。
     会場入口にある大きな写真だが撮影OKなので紹介できた。
     彼は1945年5月沖縄戦従軍取材中に砲弾により重傷を負い帰国した。
 
     この写真は第二次世界大戦終結後最初に発表された作品という。
     明るい光を浴びて歩む彼の子供たち
     子供たちの将来と世界の将来への作者の願望が感じられる。
 
 
            
 
 
      
 
  
    テーマごとに並べられた写真はアメリカの 『ライフ』 誌に発表されたフォト・エッセイの一部だがサイパン島・硫黄島・沖縄の戦場の写真には足が釘付けになった。
  
  山中で発見された瀕死の赤ん坊、洞窟から追い立てられる島の住民、砲撃に身をかがめるアメリカ兵、負傷兵を手当てするアメリカ兵、連行される多数の住民、アメリカ空母での水葬
の光景などなど。
 
  「私は、戦争は悲惨だというとらえ方で仕事をしてきた。これらの写真で試みてきたことを、
  私はこれからも続けていきたい。戦争はこの世の縮図であり、様ざまな事柄が誤魔化しよ
  うもなく鮮明に現れる。人種的偏見、貧困、憎悪、偏狭は、平時の生活のうちにも蔓延する
  が、戦争の中でほど、否応なくはっきりとはとらえられない。」(E.スミス)
 
  1970年代にはスミス夫妻は水俣(熊本県)に住み、水銀中毒に苦しむ人たちに寄り添って多くの写真を撮った。しかし、日本と縁の深いスミスは1978年10月 59歳の若さで病のために他界した。
 
  世界の各地で彼が撮影した無名の人々の苦楽に満ちた生活のフォトエッセイは、これからも人々に多くの何かを訴えていくに違いないと私は思う。
 
 
   
 
 
         
 
   
     写真美術館への通路の壁には、ロバート・キャパ Robert Capa のあの有名な写真があった。1944年6月6日 ノルマンディー海岸に上陸するアメリカ軍である。この写真から今の若い人たちは、日本の政治家たちはなにを読み取るだろうか。
 
 
   
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