ぼく、見たんだ。
お隣さんのね、お庭にね、すっごく大きな木があるんだけど、大きくて緑がきれいだから、毎朝一回は見ちゃうんだ。夏の終わりだから、今はあんまり葉っぱはついてないんだけど。
あっ、こういう木はね、たいぼくっていうんだって。しずる君が言ってた。
それでこの前、木を見たら、人がいたんだ。でも、何か疲れてるみたいだった。ちょうど少ない葉っぱが重なって顔とかはよく見えなかったけど、枝にぶら下がっているみたいだった。だって手も足もぶらんぶらんにしたまま、ずっと揺れてるんだよ。不思議なのは、手も足もぶらんぶらんなのに、どうやって木にぶらさがっていたかってことなんだ。顔とかは見えなかったから、顔で木にぶら下がってたのかな? 変なの。
学校から帰ってもね、あの人、ずっとぶら下がってた。すごいよね、疲れないのかな。見た目はすごくぐったりしてるのに。
えっ? 何? それはいつ? えと、たぶんね、図工のあった日だから、火曜日だ!
どうしたの? お母さん、なんでそんなに慌ててるの? 今から見に行くの? やめといた方がいいよ。あの人お風呂にも入っていないから、すごく臭い匂いするんだ。
ううん、誰にも言ってないよ。あ、今日しずる君には言っちゃった。しずる君も変だって言ってたよ。
ねえねえ、それより、いつ帰ってくるの? お父さんずっといないよ。図工で描いた絵を見てもらいたいのに。ねえねえ、お母さん‥‥。
続