夏の夜、街灯の周りに集まる無数の虫を見たことがある人は多いでしょう。あの現象、なぜ起こるかご存知ですか?そのカギは「紫外線」にあります。
虫は紫外線が大好き?
多くの昆虫は、私たち人間には見えない「紫外線(UV)」の光を見ることができます。これは、虫の目が人間とは違う仕組みになっているからです。たとえば、ミツバチは紫外線を見ることで、花の蜜がある場所を見分けています。
つまり、虫にとって紫外線は「案内標識」のようなもの。特に夜行性の虫たちは、月の光やを頼りに方向を判断していると言われています。
虫は光に向かって飛んでいきますが、太陽は点光源ではないため、太陽に向かっては飛んでいきません。
なぜ人工の光に集まってくるの?
最近のLEDライトには紫外線がほとんど含まれていませんが、昔ながらの蛍光灯や白熱灯、虫よけの工夫がされていない街灯などは紫外線を多く含んでいます。
虫たちはこれを「月の光」と勘違いして近づいてくるのです。特に「誘蛾灯」と呼ばれる虫取り用のライトには、意図的にUV成分が多く含まれており、蛾やカナブンなどが次々と引き寄せられます。
《参考文献》
紫外線は虫にとって危険じゃないの?
実は紫外線は虫にとっても有害なことがあります。特に強いUV-C(短波長紫外線)はDNAを傷つける力があり、殺菌や害虫駆除にも利用されます。UVを利用した「電撃殺虫器」などは、まさにこの性質を利用しています。
《参考》
ただし自然界でのUV-AやUV-Bは、虫にとって重要な「ナビゲーションツール」でもあります。つまり、紫外線は「便利だけど使いすぎ注意」のような存在なのです。
どうすれば虫を寄せ付けない?
もし自宅のベランダや玄関先に虫が集まって困っている場合は、以下の対策がおすすめです
• 紫外線を含まないLEDライトを使用する
• 黄色い光(虫が嫌う波長)を使う
• 網戸に虫よけスプレーを使う
• 夜間はなるべく照明を減らす
虫の世界は光に満ちている
私たちには見えない「紫外線の世界」。虫たちはその中で生き、花を見つけ、仲間とコミュニケーションをとっています。
その他の自由研究