前回の『‐シリーズ こうして「在日」は生まれた その5(財産請求権の問題)‐』(https://ameblo.jp/epikutetosu/entry-12341158583.html)でのおさらいとして、韓国は日本に対し植民地化によって引き起こされた収奪の清算として、持ち出された自国の国宝や人的資源、金融資産などを日本側に請求しました。

 

これについては、本シリーズの種本(『アジア・アフリカ講座 日本と朝鮮』第3巻 勁草書房)とは別の、社会党学習シリーズ第十七集『日韓会談』にて提示された論拠をもとに話を進めていきます。

 

「もともと『植民地』における『本国財産』は、植民地解放のときに、独立した民族政権によって没収されることは、今日では世界的な情勢として文句はいえないことである」とされています。

 

しかしながら、当時の韓国をみると「独立した民族政権」と見なすのは非常に難しく、実際は米軍が没収したために事態はかなり複雑になっています。

 

 

日本敗戦まもないころに韓国に進駐した米軍は、1945年9月25日の軍令第二号および、12月6日の軍令第三三号とにより「日本の私有財産の所有権は朝鮮軍政府(軍制を敷いた在韓米軍)が所得し、軍政府がその財産を所有する」としました。

 

つまりこれにより、日本の国公有財産はおろか、私有財産にいたるすべての資産を没収してしまい、この行為はいくら戦勝国といえども明白な国際法違反です(ハーグ陸戦法46条)

 

しかし日本の吉田政府は、この米軍の違法行為をサンフランシスコ条約によって「合衆国軍事当局により、またはその指令に従ってなされた日本国およびその国民の財産処理の効力の承認」などと訳の分からない理由で、すべて認めてしまいました。

 

 

朝鮮半島に関する物事について、あれだけがめつさを発揮しつづけてきた日本ですが、殊に相手がアメリカや米軍となると、途端に腰砕けになる属国っぷりです(呆)

 

在韓日本財産を私有財産にいたるまですべてを没収した米軍は、後に1948年8月9日「米韓財政および財産移譲に関する協定」によって「軍政府に帰属した日本の公私有財産を大韓民国に移転」したと言い訳をしています。しかし李承晩政権に譲り渡したとは言っているものの、実のところは、すでにその大半を横領・掠奪・私消してしまったのです。

 

 

<参考資料>

 

・『アジア・アフリカ講座 日本と朝鮮』第3巻 勁草書房