日本の防衛庁(当時)は、1964年に作成された第三次防衛計画を進める中で、次のような図上作戦として極秘資料を作成しています(1964年10月20日『エコノミスト』掲載、松本清張『危険な想定』より)


「図上作戦の課題によれば、日本をめぐる緊張状態は朝鮮半島から起こる。すなわち、昭和25年(1950年)の朝鮮戦争と同様な事態が再び起こるとしてある。すなわち、北朝鮮軍が38度線を南下し、これを迎え撃つ米韓軍と激戦を交える」


「北朝鮮軍の背後からは中共軍が雪崩をうって出てくる。米韓軍はかつての状態のように苦戦に陥る。したがって、極東の平和を担当しているアメリカとしては、在日軍事力(在日米軍)や極東の兵力を韓国に投入することになる」


「この場合、前回の朝鮮戦争と違うところはソ連が遅かれ共産陣営に加わって参戦すると想定される。こうなると、それがそのまま全面戦争への突入になるか、あるいは核兵器の局地戦になるか、判断の困難な分れ道だが、想定によれば、全面戦争に直ちに入らないとしても、やがてはその可能性を伴う激烈な戦闘になるだろうとしてある」


その場合、自衛隊は日米共同作戦会議で決定した通り、国内における「間接侵略」弾圧と称して、共産党、朝鮮総連などの「反国家的」(今でいう「反日テロ組織」)中立勢力を駆逐し、議会で政府に対する忠誠を誓わせます。


憲法第九条防衛庁法実質的に侵犯され、自衛隊は極東米軍に協力して相手基地を攻撃する。


これは現在で言われる「集団的自衛権」の問題と同じですが、ひとたび戦争が起これば、日本国憲法は蔑ろにされ、アメリカ軍による対朝鮮戦争に駆り出されるのは必至です。


米軍は日本国内に核兵器を配備し戦時立法によって生活必需品物資の統制戦略物資の統制物価統制金融統制輸送統制が行われ、重要軍需産業の分散疎開、地下移行、自衛隊要員確保のための強制徴兵も行われる。これらの戦時措置は議会では「事後承認」という形で成立とのことです。



以下のような、南朝鮮(以下韓国)におけるアメリカ核戦力(‐新シリーズ・朝鮮統一と日本を考える その7(朝鮮統一問題の国際的側面と日本②)‐ https://ameblo.jp/epikutetosu/entry-12292346250.html )、さらにアメリカの極東戦略の一環としての日本の第三次防衛計画をみるならば、南北朝鮮の平和統一が行われないかぎり、日本自体も侵略的核戦争の危険からまぬがれることはできません。


したがって、南北朝鮮の平和統一は日本自体の利益のためにも欠くべからざるものであり、日本としても「日本自体の立場」から、その実現に寄与しなければならないのです。



しかし現実を見てみると、やれミサイルが落ちてくるだの、北朝鮮の「暴走」ばかり取り上げ、いかに狂った国であるかを、日本人に朝鮮人に対する恐怖と憎悪を受け付けるばかりの報道が繰り返され、いたずらに周辺地域の緊張を高める認識を国民に醸成させた挙句、お前たちは戦争がしたいのかと、平和ボケしてしまった日本人は、とうとう自らを地獄へ叩き落す妄動に突き進んでいるのです。



<参考文献>


・『アジア・アフリカ講座 日本と朝鮮』第三巻 勁草書房