今回から新シリーズとして、朝鮮半島の統一がいかにしてなされるべきなのか、そしてどのような環境下で成就されるべきなのかについて、参考書をもとに考えていきたいと思います。


※参考書については、日本における朝鮮観を述べた前シリーズと同じものを使用しております。内容は『アジア・アフリカ講座 日本と朝鮮 第三巻』勁草書房(1965年時)のものなので、ところどころに更新されていない古い歴史的記述があると思います。もし知識のある方なら、コメント欄に「もうこの条約は撤廃、もしくは是正された」と記して頂ければ、助かります。



まずはじめに述べることとして、


朝鮮(南北)の統一には三つの原則があります。


それはどのような方法、手続きで統一がおこなわれるにしても、この三原則は満たされなければなりません。

また、この三原則がクリアできたなら、その範囲内で手続き上の変化も工夫できることになります。



①自主統一でなければならない(外国<アメリカや周辺諸国>の干渉なしに、朝鮮人民自身の手によって統一しなければならない)


②民主主義的基礎の上に行われる統一でなければならない


③平和的におこなわれる(戦争手段によらない)統一でなければならない



いうまでもなく、この三原則『国連憲章』の目的とされている「国際平和及び安全の維持」「人民の同権及び自決の原則の尊重」にも合致しています。またこの三原則の基礎には、かつて第二次世界大戦において朝鮮の抗日独立闘争が世界的な反ファシズム統一戦線の一環として戦われたという、歴然とした事実のもとに存在しております。


この三原則によって統一をおこなおうとする場合、まず外国軍隊による内政干渉が障害になることは当然です。無論、現代においてそれを独占的におこなえる立場の国は、唯一アメリカしかいないので、今日における朝鮮統一は、このアメリカ軍をいかにして撤退させるかが前提となっています。


無論、戦後間もないころは、アメリカ軍は「国連軍」と称し、後に在韓米軍となるのですが、初期においてその成り立ちは国連憲章に規定された正規の軍隊ではなくその統帥権はアメリカ大統領に帰属し、しかも『大韓民国陸海空軍指揮権移譲に関する李大統領(当時のイ・スンマン大統領)からマッカーサー元帥への公翰(公文書)』(1950年7月15日)および『大韓民国とアメリカ合衆国との会談議事録』(1954年11月17日)によって韓国軍をその指揮下においています。



また、朝鮮戦争における休戦協定に違反して結ばれた『韓米相互防衛条約』によりアメリカ軍の無期限にわたる韓国での駐屯が可能となり、『韓米経済および技術協定』(1961年2月8日)により、アメリカ政府による「韓国政府国家予算」ならびに国民経済全般に対する干渉権が認められています。


従って、アメリカ軍の撤退および韓国への植民地的干渉なくしては、朝鮮半島の自主統一はありえないというわけです。


無論、この事実は参考書の記述から半世紀以上経った現在においても、歴然として存在する「解決しなければならない歴史的命題」であります。



<参考文献>


・『アジア・アフリカ講座 日本と朝鮮』第三巻 勁草書房