ブログ更新が2カ月以上も滞ってしまい、申し訳ありませんでした。


前回の記事で引用した動画が「加工済み」と称されていたにも関わらず、後藤さんのショッキングなカットが含まれていた画像を公開してしまい、今回はその修正としてスクリーンショットのみのものとさせていただきます。



ニュースが放映されて、かなり経ちますが内容においては時間の経過は関係ないので極めて深刻なものとして今現在も受け止めております。



・全文訳


過激組織「イスラム国」とみられる組織が後藤健二さんを殺害したとする映像のメッセージは以下の通り。


日本政府へ。お前たちは、邪悪な有志連合に参加する愚かな同盟国のように、われわれがアラーのご加護により、権威と力のあるイスラム教カリフ国家であり、お前たちの血に飢えた軍であることを理解できていない。


アベ(安倍晋三首相)、勝ち目のない戦争に参加するというお前の無謀な決断のために、このナイフはケンジを殺すだけでなくお前の国民がどこにいようとも虐殺をもたらすだろう。日本の悪夢が始まる。


『時事ドットコム』(jijicom)「イスラム国」動画の声明全文記事(2015/02/01-13:54)




もうあとには引き返せません。


最悪の事態になってしまいました。



今月1日の早朝にフリージャーナリストの後藤健二さんがISIS〈イスラム国〉により殺害処刑されたという一報を聞き、私は恐怖と衝撃で動けませんでした。


そして深い悲しみと喪失感、当然テロリストたちへの激しい憤りを感じました。


そうした前提を踏まえた上で考えてみても、今までの惨憺たる人質交渉をさらけ出した安倍氏自身への怒りも同時に上がってきました。『テロには屈しない』の硬直的な文言で、歴史的流れや現場の空気も理解せず、エジプトのシーシ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相と握手を交わして、のうのうと「イスラム国対策」だのと称した多額の支援金。


人質の命が今まさに脅かされている中で、自身の野望を押し通すため、事態が発覚した後に慌てて「人道支援」と強調するも、根底における命への蔑視は変わらず、解決する手だてもロクに講じてこなかったがゆえにヨルダンへの「お任せ」一点張りとなり、その醜態を内外に見せつけました。


現にネット上では、ネトウヨが「ISISの動画で安倍と連呼しているからそれに洗脳されて首相を非難している」と反対者を「イスラム国」支持者とレッテル付けて、今までの外交の不手際をチャラにしようと躍起です。


第一誰も「イスラム国」を正当化しているわけではないですし、今回の殺害処刑でも私自身は真っ先にテロリストへの怒りを感じたことを前提に、それでも安倍氏の軽率で空元気な行動が「その引き金」になったことは間違いないのです。


決してお茶を濁して「いずれ起こる必然」だと擁護論者が慌てても、湯川氏や後藤さんが人質でなければこのようなことは起こりませんでしたし、仮にも今二つ出ている情報として、後藤さんご自身は拘束された湯川氏本人の救出を求めて直接シリアへ出向いたことと、安倍政権の御用メディアと化しているNHKの依頼で行ったということもあります。


いずれに共通していることは、後藤さんが無鉄砲にイスラム国(首都ラッカ)へ行ったものではなく、仮に自らの意思で行くことも、ジャーナリストに課せられた使命を全うする素晴らしい行動以外の何物でもありません。



考えてみてください。


なぜ私たちが、「その地」が危険であるのかということを知っているのか。


大手メディアを通じて、一般の人々が戦地の過酷さや凄惨さを知ることができるのも、世界各国のフリージャーナリスト方々が、命を賭してまでその取材に尽力しているからなのです。


無論、後藤さんも例外ではありません。


テレビキャスターや常連専門家・コメンテーターたちのように、安全なところで知ったように吠えている人間たちだけでは報道は成り立ちません。現場に直接出向いている人たちによって、テレビ報道の根底が支えられているのです。それは戦場以外の分野でもそうです。


先のシリア内戦で従軍ジャーナリストであった山本美香さんも、後藤さんと同じく直接戦地に赴いて取材をする人でありました。しかしながら、お二人ともその戦火に巻き込まれて亡くなるという悲劇に見舞われました。


こういう現実を、国内にいる人間はどう考えるのでしょうか。


徹底的に安全な地で精神は腐りきり、命の本質を忘れた未開人たちがのさばり、バーチャルな論理を全開にして偉そうに世界のことを語りだす始末ではないでしょうか。


ネットを徘徊するその原住民たち然り、寒すぎる嘲笑主義やニヒリズムで命をもてあそび、手前らの劣等さや醜悪さを存分に発揮して、匿名の隠れ蓑に身を隠す臆病な卑怯者ども。


それを統括する安倍氏にしろ、今日の国会答弁で小池議員が首相のイスラム国側への挑発的言動をたしなめたところ、(小池議員の姿勢が)「テロリスト側に屈して見える」と呆れた発言をして自身の責任は一切ないと開き直る始末でした。そうした今回の「勇気ある」安倍氏が行った外交政策(主にイスラム国対策)の顛末が、邦人二人の死(いずれも殺害処刑)という最悪の結末であり、セットで日本人全員の殺害予告という惨憺たるザマを演じきった本人にしても、責任が0とは絶対に言わせません。



しかしながら、現実はもう破滅的段階に至ってしまいました。


これから日本人は常におびえた生活を余儀なくされますし、海外在住者はなおさらのこと、無責任なバカ宰相のせいで否応なく命の危険にさらされ、国内の惰眠をむさぼる未開人たちにせよ、爆破テロによって体が肉塊となる日もそう遠くないでしょう。


最後に、今回の人質テロ事件でその尊い命を落とされたフリージャーナリストの後藤健二さんに、その職務を全うされたことへの最大の敬意と哀悼の意を表して、ご冥福をお祈り致します。



〈参考資料〉


・『時事ドットコム』(jijicom)「イスラム国」動画の声明全文記事