シリーズ・『安倍ヘイト内閣』連続記事の最中ですが、小休止として、今日の朝日新聞の朝刊で今年2014年の衆議院解散総選挙で壊滅した『次世代の党』に関する記事を出したいと思います。




次世代、保守票取り込めず


衆議院 ネット右翼頼みに限界



自民党の右に柱を立てる‐国家や民族を重視する本格的な右派政党として衆院選に臨んだ次世代の党。

インターネットで活発に発言する右派勢力などを頼りに、強い保守色を前面に押し出して戦った。


だが、公認48人に対して当選は2人と惨敗。識者からは、保守の理念が先行し、生活に密着した政策に結び付けられなかったとの指摘が出ている。




公認48人  当選2人



選挙結果を総括した19日の次世代の党の会議。平沼赳夫党首は、落選議員らを前に「私の力が足らず、心から反省している」と頭を下げた。石原慎太郎最高顧問も「十分な応援ができなかった」と謝罪した。


旧日本維新の会から分裂し、8月に結成した次世代の党は、平沼氏や石原氏ら自民党よりも保守的な理念を掲げる政治家の「オールスターチーム」の様相だった。衆院選では中国批判、慰安婦問題に加え、「根拠がない」との批判を浴びながらも、独自調査をもとに「在日外国人の生活保護受給率は日本人の8倍」などと訴え、「生活保護は日本人に限定」とする社会保障制度の抜本改革も公約に掲げた。



次世代の選挙戦の象徴は、2月の東京都知事選で61万票を獲得した元自衛隊航空幕僚長の田母神俊雄氏だ。東京12区で公明党の太田昭宏国土交通省にぶつけ、支持母体の創価学会を徹底的に攻撃した。



記者会見で田母神氏は「安倍晋三首相の足を引っ張る公明党を政権から分離させ、自民・次世代の連立政権を作らねば、日本は取り戻せない」と述べ、街頭演説でも徹底した公明党、創価学会批判を続けた。


ネット上で発言する右派の支持を得ようと、積極的なネット戦略も展開した。



「子育てを犠牲にしてまでなぜ働くのか」「慰安婦問題はでっちあげ」など、「誰もが知らんふりするタブー」を斬るとして、キャラクター「タブーブタ」を一刀両断する動画を制作。


ツイッターも自民、公明に次ぐ約1万2千フォロワーを獲得。「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の桜井誠会長が「小選挙区、比例ともに次世代に一票を投じてきました」とツイートするなど、右寄りのネット世論に浸透したようでもあった。




しかし、ふたをあければ、わずか2議席。当選はいずれも強固な地盤をもつ平沼氏(岡山3区)と園田博之氏(熊本4区)のベテラン議員だった。目玉候補の田母神俊雄氏も東京12区で約3万9千票にとどまり、4候補中最下位。平沼党首は15日未明の会見で、「急な解散で党の知名度が不足していた」と語った。




「理念より政策に目を」指摘



ネット上の右派の民意がなぜ、次世代の得票に結びつかなかったのか。



若手の保守論客で評論家の古谷経衡(つねひろ)さんは、次世代が掲げた生活保護受給率のデータなどを挙げて、「根拠ない数字だ」と批判。


「ネットに閉じこもっている層の受けを狙い『トンデモ』な話を振り回しても大衆的支持は得られない」と戦略の失敗を挙げる。


その上で「日本の一部の保守は、憲法や歴史認識といった上滑りな天下国家論ばかりで、『左翼の発想』とばかにしてきた庶民の暮らしに寄り添っていない。理念を全面に出す共産党は、福祉や『ブラック企業』告発を掲げて票を伸ばした」と分析する。


また、極右政党が台頭する欧州政治に詳しい佐賀大の畑山敏夫教授(政治学)は、欧州の極右勢力は、失業、犯罪の増加、社会保障財源の逼迫といった国民生活に直結するテーマを、移民排除やグローバリズム批判といった政策と結びつけ、国民を守る強い国家の復権を唱えていると指摘。


「保守の理念だけでなく、安倍政権の競争、自己責任の真自由主義的な経済政策で、こぼれ落ちた人々を救済する現実的な政策にも目を向けるべきだ」と話している。


(秋山惣一郎)




朝日新聞 2014年(平成26年) 12月20日 土曜日 第3面(13版)




口を開けば「保守、保守」と、日本における右翼や極右政党がまるで存在しないかのごとく報道する国内メディア。それは彼らに「配慮している」のか、それとも認識が大甘なのか、いずれにせよ日本には右翼・極右政党は着実に存在します。


そして今回記事にあがった『次世代の党』という政党は、政治理念・政策的にも間違いなく「極右政党」であり、その重要な定義である「歴史修正主義」と「外国人排斥」の、そのいずれかが該当すれば成立します。また差別・排外主義的ヘイト団体やネオナチとの関係含め、その情報も順次説明していくとして、実際問題、次世代の党で立候補した候補者の面々の発言は、タカ派色丸出しの発言で踊りしました。




石原慎太郎最高顧問


「週刊誌のインタビューで、一番したいことを聞かれたんで『シナと戦争して勝つこと』と答えた(12月16日、日本記者クラブでの引退会見)



田母神俊雄副代表


「戦う態勢を取ると戦争になると言うのは、日本の左巻きだけ。警察官が出動態勢を取ったら犯罪が起きるのか(12月4日、東京都北区で街頭演説)



山田宏幹事長

「私は、(米国の)上院、下院の両院議員何人かに慰安婦問題は、そういうような事実はない、としっかり話してきた(10月6日、衆院予算委)


杉田水脈女性局長

「男女平等は、絶対に実現し得ない。反道徳の妄想です。」(10月31日、衆院本会議)


西村真悟氏

「日本を取りもどす大義の最大の障害は、自公連立体制だ。自公体制を切断しなければ、日本は日本に戻らない(11月26日、衆院議員会館での立候補会見)


以下のとおり、朝日新聞はこれらの発言を「保守」発言としましたが、一体どこが「保守」なんですかね。

保守とはおよそかけ離れた、「歴史修正主義」「女性差別」「軍事タカ派」と、極めつけは石原氏の「『シナ』発言」、彼は過去にも在日コリアンに対して「第三国人」と差別用語で罵倒し、その極右レイシストぶりを見せつけました。また西村氏においては、過去に「大阪繁華街に韓国人売春婦がウヨウヨいる」と放言して日本維新の会を除名処分となりましたが、そういう連中の集まりを「保守」と称するならば、これは本来の『保守』の方々に対する大変な無礼にあたるでしょう。

元来、保守というのは自民党の創政会や宏池会であり、それは俗に「保守本流」と呼ばれました。

それを中心軸として、左右に「保守系リベラル」の自民・三木武夫の派閥があり、「保守系右派」に自民・清和会がくるという構図です。決して彼らのような歴史修正主義の差別主義者が「保守」を名乗ることはありませんでしたし、街宣車の右翼自体も、よく朝鮮学校で街宣活動をして授業を妨害していましたが、そんな「右翼」ですら引くくらいのヘイトスピーチをして極めて暴力的な行動に出た在特会やそれを支持するネット右翼らは、無論のこと「極右」に該当するのです。

現在の日本では、そうした「右と左」の尺度が完全に壊れてしまい、日韓・日朝・日中友好、アジア諸国との連帯を唱えたら『反日極左』と呼ばれ、これらをおおむね決めているのはネトウヨであり、彼らの「好き嫌い」によって『保守』(愛国者)と『極左』(売国奴)に分かれ、もしネトウヨに嫌われれば不条理なるレッテルを貼られ激しいヘイトや罵倒の嵐に晒されます。


ちなみに、今回衆院選挙で落選した田母神俊雄氏ですが、彼の応援演説に「とある人物」が駆けつけたことに注目が集まっております。



田母神氏の左に写っている白髪の人物は、瀬戸弘幸という在特会関係者。界隈では超がつくほど有名な極右思想の人間でヘイトデモの常連、カウンターの野間さんらが乗るベンツに日章旗を武器に特攻をかけるフリをすれば、過去には「ヒトラー・ナチス研究会」なるものを立ち上げて演説するほど、文字通り日本の『ネオナチ』です。一応その様子も載せておきます。


 

(画像の壇上に映るのは、『ヒトラー・ナチス研究会』にて演説する若かりしころの瀬戸弘幸氏)

結果、ネトウヨや在特会・ネオナチを関係する多くの「極右勢力」に支持された次世代の党は、正真正銘の『極右政党』であり、間違っても「保守政党」なんかではありません。ゆえに関係する政治思想や政策も、「強い保守主義」だのという表現も間違いで、「極右主義」や「排外主義」が正当なのです。そしてそれが公約にも著しく反映され、前提として関係する支持母体との繋がりや、そうした層を狙いとする候補者の選出や元来の極右政治家らが幹部でいる以上、これは隠しきれない事実なのです。


どうにも日本のメディアは、朝日新聞をはじめ「政治のイデオロギー基準」が狂っており、世界とはかけ離れた論理でその決定がおこなわれ、欧米の極右政党は「極右政党」と呼ぶのに、自分の国の極右政党を「保守政党(右派政党)」などでごまかし、その大甘な認識は世界に不信と恥をさらすのです。

それと欧米のメディアからすれば、安倍内閣は「国粋的歴史修正主義内閣」と呼ばれ、つまりこれは事実上の『極右政党』であり、次世代はもちろんのこと、維新の党もそれに該当します。



〈参考資料〉

・朝日新聞 2014年 12月20日 土曜日