〈動画説明〉
のりこえねっと（http://www.norikoenet.org/)企画、デモクラＴＶ(http://dmcr.tv/)
協力のもと、2014年10月25日土曜日、19時から22時まで3時間、生放送で
放送した番組のアーカイブ。
26日の福島県知事選投票日、福島から沖縄へ。
そして来春の統一地方選挙へ。
いま「ヘイト」と呼ばれる「いやな雰囲気」が広がっていると言われています。
なぜそれが「いやな雰囲気」なのか。
安倍政権と関わりがあるというのは何のことなのか。
あまり知られていないことから、基本的なことまで、総ざらいして、
わかりやすく、お伝えしていきたいと思います。
＜司会＞
辛淑玉 （第一部、第二部）
北原みのり （第三部、第四部）
＜出演＞
野間易通
石野雅之
木野トシキ
近藤昭一
鈴木耕
佐藤圭
神原元
石川大我
マエキタミヤコ
池田香代子
前回(その３)は、安倍政権による『上からのファシズム』とそれを支える社会の『下からのファシズム』を示しましたが、動画は３７分以後で民主党の近藤議員をお招きして議論は進んでいきます。
氏が具体的に今回の議題に参加された理由として、在特会が近藤議員に対して誹謗中傷などむごいヘイト活動をしている最中に、それを反対する一人の車椅子の障害者が異を唱えたところ、会長の桜井(高田)誠や副会長の八木康弘、『維新政党新風』の赤石哲春ら数人(在特会カメラマン含む)で取り囲んで、あらん限りのヘイトの罵詈雑言をぶつけました。
「車に飛び込めビルから飛び降りろ！」「さっさと日本から出てけ朝鮮人！ほら出てけ！」「ゴキブリは出ていけ！」「キチガイさっさと出てけよお前」「ゴキブリは消えろ！」「警察呼んでいいよ叩きだすぞお前！」「朝鮮人は日本から出てけお前の事を言ってるんだよ」「お前の顔こそ日本人には見えないんだよ！」「お前見たいな奴はさ殺す価値もないんだよ生きてる価値もないんだよ資格もないんだよさっさと出てけ！」「えーゴキブリがですね、ただ今邪魔に入っておりますこーいうですね。障害者であることをですね、自分の武器にして、言いたい放題やりたい放題…(略)さっさと日本から出てけ！」
これ以上聞くに耐えない言葉はないでしょう。。。
相手の人間性をこれほどまでに貶め侮辱し蔑んで、それを「差別の快楽」として楽しむ心も体も醜く肥え太った男が、一体どの口でそのようなことを叫び散らすのか。
それを「表現の自由」として放置する現実を知らない気取ったバカどもも含め、もっとも声を上げづらい人がやっとのことで、それもたった一人での勇気ある行動に対して、徒党を組み、あまりにも卑怯で幼稚でおぞましいレイシズムの凶言を浴びせつけ、そうしたものの一切を許容すれば、この社会は間違いなく破局のドン底に突き落とされるでしょう。
上述のように、「社会」が障害となっている方が、自分はどんな目にあったとしてもこの政治家を支持するんだ、助けるんだと意を決して突き進んでいったことについて、受け手である政治家の人はそれに真摯に向き合わなくてはならないし、またそうやって支持される活動もされて来られた思います。
これについて近藤議員は、動画を拝見され意を決して抗議をされた障害者への在特会側の蛮行を知り、差別の根底に潜む「過去」を否定し右傾化する社会において、戦争を知らない間接世代であったとしても、口伝や思考力をもってして『戦争』を想起し、その恒常的な反省とアジアとの和解と連帯こそが、次の平和を作り上げる前提としてあること。
日本が殺し殺され、全体として我が国による加害の犠牲の上に今日の憲法や平和が存在し、それを是非とも守っていかなくてはならないとしました。しかしながら、こういう事を述べると「なぜ中国と仲良くするのか」という言葉を浴びせられ、また近藤議員は朝鮮民主主義人民共和国にもご訪問されたこともあり、そういう行動や言動をすればするほど、ただ周辺の国々に訪れたり、素朴に「仲良くしよう」「戦争をしないようにしよう」としただけで『反日非国民』になる風潮が日本社会には着実に存在します。
極右やネトウヨらによると、これらの「周辺国」は『特定アジア３カ国〈特ア三国〉』(中国・朝鮮・韓国)と呼ばれ「生粋の『反日』国」として、絶対に永久に仲良くしてはならないという思考があります。もしこれらの思考に違反すれば、この掟を破った人は『反日』『売国』『在日』『左翼(極左)』『国賊』というレッテルを貼られ、ただちに日本から出て行かなくてはなりません。
これはあまりにも非現実的で不条理な掟ですが、昨今の日本社会においては圧倒的に優勢であり、泣き寝入りするか、彼らの誹謗中傷に恐れ、掟を破らないように各人が友好の手立てを封じてしまいます。
結果的に、どんなことでもそうですが、仮に「中国」や「朝鮮」という言葉や文字が出てきただけで、ネット上ではネトウヨの激しいヘイトや暴言に晒され、近藤議員が政治活動をされるにおいても非常に悩まされて、ご自身の名前をネットで検索すればたちまち『売国議員』や『反日議員』という単語で踊り、関係するネガキャン動画や在特会・ネトウヨによって作られたデマの数々が検索の上位に引っかかってきます。
このような自体は、もはや『ネットにおける鉄板』と化してしまい、彼らが暇な毎日を全てネットの工作活動につぎ込んでいる以上、非常に変えることが難しい状況であり、事実上ネットはネトウヨに支配されている状況です。
ゆえに『のりこえねっと』の共同代表である辛淑玉さんも、フリージャーナリストの李信恵さんや安田浩一さん、在日コリアン・日本人問わず差別に反対する全ての「ネトウヨが気に食わない」方々へのレッテルや誹謗中傷は、ネットではごくごく当たり前のようにおこなわれ、ますます拡大の一歩を辿っています。
もし事情を知らない人がこういう情報に接するならば、普通に考えて「この人たちには近づかない方が良い」と思ってしまいますし、事実、先の記事でも述べているように『まとめサイト』や『ネトウヨブログ』によって騙される学生や一般層は着実に増えて、社会の右傾化が着実に進んでいます。そして、まさにこの延長線上に在特会の活動があるのです。
このネット上の反応をどう捉えるか、もはやネトウヨに支配されたまともな環境とは言い難いのですが、先の車椅子の障害者方へ桜井と共に差別暴言を浴びせた『維新政党新風』の赤石哲春が、名古屋駅にて一人の在日コリアンの青年に拡声器でものすごいヘイトスピーチを行って、それに怒った青年が赤石哲春に飛びかかり押し倒す映像がネット上で公開されましたが、案の定ネットでは「あの在日は暴力的だ」という意見が多く流れ、それが唯一無二の正論のごとくの結論になりました。
しかし考えて見てください。
仮にも自分が社会のマイノリティで、己の変更しようがない属性について不条理な差別暴言を浴びせられたら、誰だって怒るでしょうし、私なら即座に殴り倒すでしょう。姑息にも赤石ら在特会側は「意図的に」そのような心理をついて、カメラマンを同行させてあのような蛮行動画を出したのです。ネット右翼らに『在日はいかに暴力的か』という印象を確立させるために、初めから結論はわかっている答えの補強を行わせて、「差別の正当化」にこじつけるために彼らは手段を選びません。
野間さんご自身も、この動画を拝見してすぐにブログで在特会やネトウヨに反論する記事を書かれ、「『正当なる暴力』の意義」という社会的提起と、後のカウンター（差別に反対する行動）への行動原理の構想含め、在特会らのヘイトスピーチに対する実際的な活動の参考にもされました。
またこの出来事から、『ヘイトスピーチ』自体が「実際の暴力」と同等の性質や威力を含めていて、一度押し倒しただけなのに、さも「暴力を振った在日が悪い」という論調が正当化され、そうではなく、ヘイトスピーチのひとつ効果として「沈黙効果」というものがあり、思わずヘイトな言葉を浴びせられた時にマイノリティは衝動的に「黙ってしまう」効果です。
もう一つは「ムチ打ち効果」とういものが実際にあって、それは面と向かって差別的な暴言をぶつけられたら本当の平手打ちのようなショックが全身を駆け巡り、たとえば「チョンコ」(差別用語)という言葉は、実際のコリアンに肉体的衝撃や苦痛を精神的なレベルで与えるのです。
ゆえに、ヘイトスピーチ自体は『実際の暴力』と何ら変わりないということであり、その認識が日本社会においてあまりにも欠けていたという現実です。