〈動画説明〉

のりこえねっと(http://www.norikoenet.org/)企画、デモクラTV(http://dmcr.tv/)
協力のもと、2014年10月25日土曜日、19時から22時まで3時間、生放送で
放送した番組のアーカイブ。

26日の福島県知事選投票日、福島から沖縄へ。
そして来春の統一地方選挙へ。
いま「ヘイト」と呼ばれる「いやな雰囲気」が広がっていると言われています。
なぜそれが「いやな雰囲気」なのか。
安倍政権と関わりがあるというのは何のことなのか。
あまり知られていないことから、基本的なことまで、総ざらいして、
わかりやすく、お伝えしていきたいと思います。

<司会>
辛淑玉 (第一部、第二部)
北原みのり (第三部、第四部)

<出演>
野間易通
石野雅之
木野トシキ
近藤昭一
鈴木耕
佐藤圭
神原元
石川大我
マエキタミヤコ
池田香代子



前回(その1)に引き続き、その後の在特会の活動を追っていきますが(動画は21分以後)、2009年4月のカルデロン一家に対するヘイトスピーチから同年12月に、有名な『京都朝鮮学校襲撃事件』が起きます。この事件は明確な「ヘイトクライム」にもとづく偽物破損や威力業務妨害などで在特会側は逮捕者(実行犯)と1200万円の損害賠償金を求められ、5年もの裁判の末に今年12月の9日の最高裁判決にて刑が確定しました。

そしてなによりこの事件が卑劣なのは、先のカルデロン一家の娘さんと同じく、『マイノリティの子ども』を狙う、日本の極右やネトウヨの性質がもっとも端的に表れたものです。


たとえば過去には、白昼堂々、公道で朝鮮学校の生徒のチマチョゴリを切り裂くという事件(ヘイトクライム)が起こり、それによって学校側が女子生徒の民族衣装での登校を取りやめてブレザーに切り替える方針まで行き着きました。

京都朝鮮学校の襲撃時も、「スパイの子供やないか!」「道の端っこ歩いとけ!」だのと猛り狂った罵声を小学校に浴びせつけ、子どもたちに大きな心的外傷を与えた罪は計り知れないものがあります。とにかくまあこの者どもは究極の雑魚なヘタレであり、前述から『世界最弱』の差別的右翼集団とみて間違いないでしょう。


そしてこれを皮切りに、アンチレイシズム側でにわかに動きが活発化し、大阪や東京にて同時に2009年の12月の末から『緊急集会』が開かれ、各地で繰り広げられるヘイトスピーチやヘイトクライムにどう対抗していくのかが話し合われました。



増長の止まらない在特会らの蛮行はとどまることを知らず、堂々と道の真ん中で「朝鮮人の女はレイプしてもいいんですよ」「殺せ殺せ朝鮮人」「こいつチョンコですよチョンコですよ!」だのと何のてらいもなく公然と言えるようになったのはなぜか、そこには一種の「『タブー破り』の快感」が存在すると木野さんはおっしゃられました。



※『チョンコ』や『チョン』というのは、コリアンに対する完全な差別用語であり、絶対に使ってはいけない表現です。



社会常識一般として、在日コリアンや被差別部落の方々に対する差別や侮蔑は一応にして禁じられており、実態はどうであれ、「社会的合意」がされてみなが一同に「やってはいけないこと」だと認識されていると思います。

そこにならず者の在特会集団は、そういうものを壊すことによって「タブー破り」の快感を得ようとするのであり、普通は絶対に言っちゃいかんだろという表現も道中にて集団で大声で叫ぶことによって、そういう差別的快感を得ているのです。



まあ私としては、「タブー」なんて次元のものではなく、傍から見れば単なる圧倒的マジョリティでかつ警察にお守りされてないと「何一つ出来ない」アホな腰抜け集団が、調子に乗って言いたいことを吠えているに過ぎないと思います。ネトウヨらはよく「タブー」だの「真実」だのと言いますが、そもそも在日問題にタブーなんて存在しない、前からずぅっとオープンな問題として存在しましたが、日本社会がそれを無視し蔑ろにし続けた結果が今に至るのです。そういう社会が虐げ無視しつづけた物事に対して、ある種の『お墨付き』を得たかたちが、在特会やネトウヨ集団による「保険のついた差別」を許しているのであり、それらを咎める人々があまりにも少なすぎました。


こういう内弁慶なヘタレ雑魚集団が、たとえば海外で街宣してみろと言うと絶対にできないと思います。2009年に起きたピエール・パリゾ氏による靖国での田母神演説の抗議の際も、たった一人の氏に対して大勢の極右らが寄って集って罵声を浴びせ、最終的にはパリゾ氏が警察に不当逮捕されるという事件まで発生しました。

徹底的に安全かつ自分たちの身が保証されるとなると、右翼の増長っぷりはものすごいものがあり、個人に対する集団攻撃や嫌がらせはお家芸ですし、天皇に手紙を出した山本太郎議員への弾丸脅迫や、朝日新聞における日本軍の従軍慰安婦(性奴隷)を取り扱った『吉田調書問題』の案件も、担当した記者に対して、大学をやめないと学生に危害を加えるだの、転職先の大学にいくなだの、娘さんの写真をネット上に公開して罵倒するという姑息で陰湿な行為を日本の極右やネトウヨは平気でやります。


こういう「ジャパニーズ・ライトウィング」による蛮行が、世界に対する印象をかなり悪くしたことは否定できるはずがなく、安倍政権に対しての評価は『ウルトラナショナリズム政権』(つまり極右政権)、『国粋主義的歴史修正主義内閣』という評価が下され、日本のメディアが報じないほど激しい非難の目に晒されています。



話は在特会に戻りますが、辛淑玉さんがかつて授業を受け持ったとある大学にて講義に行かれた際、在特会らのヘイトスピーチの動画を見せたそうです。そしたら学生が何て言ったのかというと「日本人には朝鮮人を出て行けと言える権利がある」「こういうふうにやられるんだから、やられるなりの理由があるはずだ」といずれも述べて、その認識のお粗末さを曝け出しました。

またほかの女子大においても、動画を見た感想文においては一様に「とても同じ日本人とは思えない。こういうことやるのは韓国人か中国人でしょ」という具合でした。



それについて、石野さんは「リアルな在日の友人や人々」との交流がないことを挙げられ、これについては私自身も同意します。過去に実際に在日コリアンの友人をもつ日本人の方とそうでない方との差はたしかに存在していて、これはどの人間関係においても言えることで、「顔を合わせないと」往々にして誤解や疑心暗鬼を生みがちになり、まかり間違えれば取り返しのつかないくらい険悪な関係になってしまうことがあります。ネトウヨや今出てきた学生たちにしろ、自分の勝手な印象と妄想によって相手を理解したつもりになり、実際とは乖離した認識に至ってしまうことです。そういう意味では、やはり在日コリアンやその他の外国人の方々を知るためには、直接そのコミュニティなり人々と接することにより、同じリアル感を共有しあう、これは人間関係の基本的なことですが、そうした前提を踏まえた上で是非とも考えなくてはいけない問題なのです。


またこれは補足事項として、やはり歴史学という学問の存在も欠かしてはならないものであり、在日コリアンがなぜ日本で暮らすようになったのか、それは近代史を通して広く深く学ばなければならず、日本の朝鮮半島全域の植民地支配によって生み出された被害者として、歴史的因果律を辿って物事を俯瞰しなけれならないでしょう。


それが出来ない典型として、bubkaさんのブログ記事「まだまだ終わらない。。。」(2014-12-11 14:55:23 )にて『しゅん』『それがし』という馬鹿な差別主義者が、非常に失笑レベルの珍回答をしていました。



そんなこんなで、在日外国人の問題を取り扱うときには把握しすべき仔細はしっかりとおさえ、ちゃんとした事実に基づく調査による発言が義務付けられます。これができない人が、ネットや現実含めあまりにも多いのが日本社会の現状です。また確かな情報を得るには、数ある権威の大学の歴史書で学んだり、実際のフィールドワーク(在日コミュニティへとの交流)含め、この問題を語るならば越えなければいけないハードルが多くあります。しかしながら、本来学問や社会的議論を触れるというものはそういうものであり、そうした「手順」を踏まえて知識を得ていくのが学的認識を深めていく上では欠かしてはならないことです。