ヘイトスピーチのデモのため集まった人々(左)を出発させないように、反対する人々(右)が取り囲んだ。多数の警察官が警備し騒然とした=7日午後2時47分、京都市東山区、矢木隆晴撮影
(画像元:朝日新聞デジタル 『古都に響くヘイトスピーチ 外国人排斥、身近なところに』 2014年12月10日01時29分記事より)
今回のシリーズ記事、『‐壊れる社会(排外主義と無関心と未開人)その1‐ 』『‐壊れる社会(排外主義と無関心と未開人)その2‐ 』にてヘイトスピーチが蔓延する社会を私なりに批判しましたが、この状況がいつまでも続いていくことが日本国家の滅亡に行き着く最初のサインとして、簡単に00年代からの在特会を中心とする日本の排外主義の流れを引用記事をもとに時系列にしてみます。
無論これ以前から日本における差別は厳然として存在していましたが、現在のような異常とまで言える惨状は、ここ10年間で一気に加速していきました。
■ヘイトスピーチをめぐる動き
2006年12月 『在日特権を許さない市民の会(在特会)』発足
09年12月4日 在特会員らが京都朝鮮第一初級学校周辺で街宣
13年4月 東京・新大久保や大阪・鶴橋でヘイトスピーチデモ(女子中学生による『鶴橋大虐殺宣言』事件)が激化。在日韓国・朝鮮人の団体が抗議表明
7月1日 日韓外相会談で韓国側が反韓デモ(ヘイトスピーチ)への対応要請
10月7日 京都朝鮮第一初級学校周辺の街宣をした在特会員らに京都地裁が高額賠償を命じる。14年7月に大阪高裁が一新判決を支持。在特会側は上告
14年7月24日 国連規約人権委員会、政府にヘイトスピーチ禁止を勧告。法規制の必要性にも言及。
8月28日 自民党がヘイトスピーチ対策等に関するプロジェクトチームの初会合
12月9日 最高裁は、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は9日付で、在特会側の上告を棄却する決定を出した。街頭宣伝活動を人種差別と認め、在特会側に約1200万円の賠償を命じた1、2審判決が確定した。
また12月10日の朝日新聞の記事を引用して、
政治は黙認するのか
きょう12月20日は、世界人権デー。
「ヘイトスピーチ、許さない」。法務省は11月、人権週間を前に新聞広告を出した。
だが、今の日本は、ヘイトスピーチを許さない状況にあるのか。
在特会が在日コリアンにらに「死ね」「殺せ」と連呼している映像は、世界に驚きを与えた。
国連人権差別撤廃委員会は、公然とした人種差別などに毅然と対処するよう日本政府に求めた。
処罰の法制化を求める国連の人権差別撤廃条約を、日本も批准している。だが政府は「人種差別思想の流布や人種差別の扇動が行われている状況にない」と、法制化を進めていない。
今秋の臨時国会で安倍晋三首相は「ヘイトスピーチといえ表現の自由とも関わりがある問題。各党との検討や国民的な議論の深まりを踏まえて考えていく」と答えるにとどまった。
安倍首相のフェイスブックには「釜山からソウルまで、焦土にすべき」などのコメントが寄せられ、9日夜現在、削除されずに残る。
ドイツや英国、カナダでは、法律でヘイトスピーチを取り締まっている。米国では禁止法こそないが、差別的な言動をすれば厳しい社会的批判にさらされる。
民主、維新、共産、社民の各党は法規制を公約に掲げた。自民党は公約では触れていないが、党内で対応を検討している。
表現の自由との関係から、ヘイトスピーチの法規制には賛否の議論がある。しかし、外国人に対する差別的で暴力的な意識が広がる深刻な状況を見れば、現状は政治がそれを黙認しているとしか思えない。
直ちに対策に乗り出さなければ、ヘイトスピーチを生む連鎖は断ち切れない。(高津祐典)
朝日新聞 2014年(平成26年)12月10日 水曜日 第3面 13版
私としては、今の社会的雰囲気が第二次安倍政権を期に非常に危うい状況下にあると思います。
これはツイッターで公表されていた、安倍氏の2014年衆議院解散総選挙における最後の秋葉原街頭演説の模様ですが、目の前を日の丸で覆い尽くされた一種のカルト的雰囲気の中、『ネトウヨの星』である麻生太郎氏も街宣車の上で演説をし、それに呼応するかのごとく群集心理にまみれたネトウヨ層の支持を一気に集めています。そしてこの小国旗自体は陣営の運動員によって配られ、安倍氏が声を張り上げるたびに大きく振られたそうです。
首相のFBでは平気でヘイトスピーチが行われ、その排外主義的で過激な言動の支持母体は、おおむね画像に映る極右やネトウヨの層などでガッチリ固められています。だから彼はFBのヘイトコメントを削除しないし、彼らの顔を常にうかがいながら(時には扇動し)、ネトウヨが悦ぶ右寄りで過激な言動をFB上で垂れ流すのです。
そんな背景がある安倍政権自体も、周辺の閣僚はネオナチや在特会らの極右団体との関係が色濃い人事で埋められ、ある種それは必然の理のごとくここ最近の自民党の「極右化」(ネオナチ化)は勢いを増すばかりです。
『安倍ヘイト内閣』、これはあながち間違った表現ではなく、前述の裏付けがあって成り立つのであり、昨今の自民党議員の経歴や交友関係をみても、必ずやどこかの排外勢力とマッチングしていたり、その熱い支持を受けている者が多く、こうした「下からのレイシズム」を吸収して肥大化した現在の自民党自体も、朝鮮学校の補助金停止や在日コリアン・社会的マイノリティに対する締めつけを強く行う「上からのレイシズム」をおこなう非常に危うい政権なのです。
ゆえに今回の一連の出来事も、現在日本が抱える政治的問題と密接な関係があり、ネットの世界におけるネトウヨ勢力の伸張と相まって、それが現実の社会においても影響力を増しつつあり、社会的下部構造においてのさまざまなヘイトの問題含め、彼らが夢見る『特別な日本』(極右やネトウヨが支配する差別にまみれた戦前の日本)の実現のために、異なる集団や意見の違う人を『反日』『在日』『左翼』『売国奴』『国賊』などの文言を使ってレッテルの圧力を加え、これらの「無敵のことば」が優勢である以上、日本はどんどん民主主義から遠ざかる全体主義国家への凋落は不可避な事実として、各人に突き付けられるでしょう。
※記事中に出てきた差別主義者団体である『在日特権を許さない市民の会』(在特会)の名称は、完全なヘイトスピーチによるデマゴークであり、『在日特権』自体はまったくの事実無根の虚構であります。
〈参考資料〉
・朝日新聞 2014年12月10日 水曜日 記事
‐追記(ヘイトクライムの発生)‐
昨日12月の14日の浅草線中延駅で、痴漢撲滅のポスターに『朝鮮人』『在日』と置き換えた落書きがあり、発見された方が直ちに駅員に求め撤去させた情報が入りました。
いかにも日本の極右やネトウヨらしい、姑息で陰湿なやり方ですが、それに異議を唱えた方々がツイッターにあつまって、より一層の反差別の機運を高める起爆剤となるでしょう。
臆病で馬鹿なネトウヨと極右は、いい加減に自分たちの首を絞めていることに気づいたほうがよろしいのでは?(笑)
※本ツイッターの情報を載せておきます↓