「欲しい音が手に入るならボクは裸になってもいい」とテレビの中で佐渡裕氏は言った。
でも、その欲しい音をオーケストラにどう伝えるのか。
形のないものを他人に伝えるのはとても難しい。
「複雑な表情をする」と言うト書きに困惑した故・田中好子が今村昌平にどうしたらいいのか尋ねた。
「駅で走って走って階段を駆け下りて、乗ろうとした瞬間に電車のドアが閉まってバツが悪いといったときの表情」・・・そう答えた。
ステージの上で目ヂカラはどうつくる?
「スポットライトを眼の白いところで睨むの」そう宝塚の女優は若手にアドバイスした。
オペラ・カルメンのリハ中にオケピに向って叫んだオペラ歌手がいた。
「あなたたち、セックスしたことあるの?」
団員はみんな固まった。
このフォルテはどういうフォルテ?
「お客さんがこのホールに入って一番響くフォルテ」と言ってますますわからなくしてしまった指揮者もいた。
ただ優秀な指揮者や映画監督、女優さん・・・みんなボキャブラリーが豊富です。
小澤征爾さんなんて、頭の中にどれくらいの“比喩(例え)”が入ってるんだろうといつもビックリしてしまいます。
フォルテ、ピアノ、フォルテッシモ、ピアニッシモ。
どんな表現があるのか、ひとつひとつ採集してみても面白いかもしれません。
やっぱり本を読むことは大事です。
昨今、本に向き合う人が減ってきたのはとても残念ですが、本を読んで頭の中にイメージする。
映像技術がどんどん進化して3Dまで現れてくると人間はどんどんイメージできなくなってしまう。
なんとなく、紙芝居がいつの日か見直される日が来るんじゃないかな。
そんな日を楽しみに待ちたい気がした朝でした。