憎悪 | 愛と幻想の薬物

愛と幻想の薬物

病んだ精神を癒やすために、体験を基にし、エッセンスとしてのホラを加えながら『さいはての地』での記憶を辿ります。
妄想、現実、ありがちな経験をもとにした物語です。

夜がくる、
師走の夕暮れは一瞬ともいえる早さで終わる。

午前中の爽やかな気持ちがどこから湧いてきたのか
それすらも今はわからない。
夜になると、それまでの小さな感情の波が
突然大きく暴れ出して、それは堪(こら)えがたく
自身の心が変容するのがわかる。




それは
正(まさ)しく『憎悪』なのだ。

嵐の渓流を流れる濁流の如く、流れに触れるものを激しく巻き込んで
周囲をグシャグシャに壊すためであるかのように

『憎悪』そのものが力尽きるか、
或いは酒の酩酊に飲まれて自身が崩れ落ちるか

『憎悪』などという感情とその感触に触れることなど
生涯無いだろうと思って生きてきた。


自分が何者なのかなどくだらないことに囚われることはないが、
『どうしようもない奴だ』と唾棄するように呼ばわれ
扱われる
普遍的な(どこにでもいるような)気狂いのカタワでしかない残念な実感を得たこと…


これによって『憎悪』の鉾先が自分に向いてくれれば
時として救われる




それは神による赦しなのだ。