だれかのことを強く思ってみたかった
角田光代さん、佐内正史さんの「だれかのことを強く思ってみたかった」を買う。
佐内正史さんの写真がちょっと気になっているのと、中身をぱらぱらめくったらもの凄い短さの短編ばかりだったので、嬉しくなって買った。
私は短編小説が好きだ。
長編だと自分の好きな小説ですら、途中で飽きて放り出してしまう。
帰りの電車の中で少し読んだ。
突然の雨が、買ったばかりの本を少しだけ濡らした。
タイトルは、中に収められている「まわる季節」のなかの一文だ。
自分の家が嫌いで、誰かのことを思うことも、誰かを思うということがどんなことなのかも知らない、17歳の女の子。
誰かのことを思ったことはあるか、と聞かれれば、わたしは、「ある」と言うだろう。
恋をしたことはあるか、と聞かれたらきっと、ある、と答えるだろう。
けれども、その短編を読んで、わたしは、だれかのことを強く思ってみたい、と思った。
誰かを強く思ったことは、ある。
誰かに恋したことも、
だけどわたしは、もう一度だれかを強く思いたい、
のではなく、
だれかを強く思ってみたい、
と思ったのだ。
17歳の少女のように。
だれかのことを強く思ってみたかった、あの頃のように。