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ある朝の風景―綾瀬川彩人―
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リズムの良い音が継続的に聞こえてくる。
毎朝こういう風に目覚めるのは、きっと心地いいだろうな。
彼女を早く独占したい欲が出て、我ながら彼女に溺れているのがよく分かる。
ベッドから起き上がり、そっと足音を忍ばせて、寝室を出る。
キッチンに、彼女の姿を見つけて、思わず頬が緩む。
髪を一つに纏め、エプロンを纏い、真剣にまな板に向かっている彼女。
真剣な表情に、悪戯心が芽生える。
彼女はまだ気づいていないみたいだし。
包丁を置いたのを見て、後ろからぎゅっと抱き締めた。
一瞬身体が強張るが、すぐにもたれかかってくれた。
気を許してくれている態度が心地いい。
「おはよう、僕の奥さん」
「…っ…奥さんっ?」
耳まで真っ赤になるのがほんと可愛い。
もっと苛めたくなる。
「不満…?」
と少し悲しそうに言うと、慌てて弁解する。
…うん、わかってるよ、君の気持ち。
「じゃあ…僕の未来の奥さん」
照れたようにはにかむのは、反則。
せっかく、我慢していたのに、無理かな…。
「プ、」
「ぷ?」
「…プロポーズ?」
…ふむ。そういえばそんな感じになっちゃうね…。
でも、ちゃんとしたプロポーズ、考えてあるし、近々実行するつもりだから、ね。
そんなことを彼女に伝え、軽くキスを落とすと、至上最高に可愛く笑った。
…理性が飛ぶくらい。
何も言わず、鍋の火を消して、彼女をひょいっと肩に担ぎ上げる。
背中で文句言ってたけれど、そんなのは無視に決まってる。
寝室のベッドにそっと押し倒すと、「もう朝なのにっ」と抵抗する彼女。
黙らせるにはこれ。
「君が可愛いから」
耳元で囁くと、すぐに、ほら大人しくなる。
深く口づけ、「君が欲しい」と囁くと、ようやく観念したのか、首に腕を回す。
何もかも終わったあとに、きっと彼女は呟く。
「彩人さんなんて、嫌い」って。
そう言えば、好きって言うまで、また愛するまで。
二度と言えないように、今回は手加減してあげない。
おわり