試合後のソアレス監督の記者会見コメント抜粋。
【ヤマザキナビスコカップ 磐田 vs C大阪】セルジオソアレス監督(C大阪)記者会見コメント(12.3.20)
「まず、我々がメンバーを代えなかった理由ですが、チームとして完成度を上げていくためにはこの時期に1試合でも多く同じメンバーで試合を重ねていきたいということがあります。これは今日のような違う大会の試合であっても、我々にとっては連係の部分を一日でも早くよくしていきたいということがあるので、こういったメンバーで臨みました。」
ソアレス監督のコメントからも分かるように、「連係の部分を一日でも早くよくしていきたい」という意図から、セレッソは中2日での試合でも、この日のナビ杯の試合にリーグ戦と同様、ベストメンバーで挑んだ訳です。
スタメンは、故障持ちでも無理して五輪代表・リーグ戦に出場していた扇原に換えて、横山を入れた以外は、ダービーから変わらず。
ただ、ベストメンバーを組んだからからといって、ベストパフォーマンスが発揮できるか?否か?は別問題。
試合は、前半、入りからセレッソがポゼンションで圧倒して主導権を握った。
この日は、持たされてる感じではなく、2列目の3人や1トップのケンペスを絡めて、攻撃としてのポゼンションができていた。
そして、その流れの中から、ラッキーなこぼれ球をブランキーニョが冷静に決めて、0-1でアウェーのセレッソがリードして前半を終える。
しかし、結果から先に言えば、後半は磐田に互角以上に盛り返され、逆転されて敗戦することになった。
理由はいくつかあると思うけれども、後半は、間違いなく試合に対するモチベーション・勝ちたい気持ちで磐田の方が上だった。
磐田はスタメンから見て明らかだったけれども、実質1.5軍~2軍だった。
ターンオーバーを言えば聞こえはいいけれども、磐田の場合、明らかにリーグ戦のメンバーとは質が落ちていた。
ただ、この1.5軍、チームとしての連携は上手くいかないけれども、リーグ戦で出場の機会やスタメンを奪う為の当落線上の選手が多く、個々のモチベーションが高かったように思う。
セレッソのこの試合における主目的がソアレス監督のいう「ベストメンバーでの連係」の部分であるなら、磐田のこの試合における主目的は、「当落線上にいる選手の見極め」であったように思う。
その目的の違いが、後半になって大きく試合を動かした。
磐田の個々の選手は、当たり前のことをきっちりやっていた。
球際に激しくとか、最後の最後まできっちり走りきるとか、サッカーをやる上で、前提として当たり前のことをきっちりやっていた。
一方のセレッソは、明らかに、故障を嫌がって、球際に激しくいっていなかった選手もいたし、走れなくなれば、小手先のテクニックだけで逃げようをする選手が散見した。
セレッソには、日韓のA代表や五輪代表選手がいて、リーグ戦よりもプライオリティの低いナビ杯で故障したくない、もくしは、故障を悪化させたくないという気持ちは分からなくもない。
後半になっても、DF陣は必死に身体を張っていたが、攻撃陣の淡白さは眼についた。
間延びした広大なスペースを、どこまでも走り回って、身体を投げ出していたのは、山口蛍くらいだったように思う。
モチベーションの部分、勝ちたい気持ち、必死さの差の部分で負けた。
結局のところ、サッカーとして、当たり前のことができずに負けたといえる。
磐田とセレッソでは、この試合における主目的が異なることから、試合結果は、それはそれで仕方がないのかもしれない。
采配においても、ソアレス監督が、どうしても勝ちにいく交代をしたかといえば、たぶんNOだと思う。
動きの鈍ったボギョン→村田の1つしか交代枠を使っていない。
チーム全体として運動量が落ちていたのは、見ていて明らかだったにも関わらず。
セレッソは、キャンプ中にも日韓の五輪代表候補が抜け、シーズンに入っても召集され、ただでさえベストメンバーの連携が不足していることは明らかな訳で、この試合において「連携の成熟」を主目的に置くのは悪くないと思う。
ソアレス監督も、主軸の連携を確立した上で、バックアップなどの層を充実を図っていきたい考えだろう。
この試合を、練習試合としてみれば非常に成果があった試合だと思う。
良かった点としては、
特に、攻撃陣においては、ビルドアップにケンペスが絡めるような組み立てができるようになったし、2列目でブランキーニョと清武・ボギョンの連携も、試合を重ねる毎に良くなってきている。
まだまだ細かい部分の修正が必要だとはいえ、J1開幕戦の鳥栖戦と比べると、明らかに攻撃は良化してきている。
悪かったというか、課題が見えたという点では、
やはり今年も「ボランチ」の出来がセレッソの浮沈を握りそうな気配がある。
この日は、山口蛍と横山のコンビだったけども、後半は間延びしたスペースを埋めきれず、横山は連携不足もあって良さを出し切れなかった。
横山のプレーは、この日初めて見たけれども、決してボール奪取の得意な選手ではなく、どちらかというと裁くパサータイプ。連携が十分でないこともあって、狭い範囲での繋ぎが多く、ボランチを経由してのワイドな展開はあまり見られなかった。ただ、縦パスを常に狙う意識を持っている選手だから、2列目、FWとうまくかみ合えば、面白い楔のパスが繋がって、攻撃が組み立てられるかもしれない。
チームとしては、この日、間延びした後半に、選手間での距離がありすぎたけれども、ボランチがその間で攻撃を繋ぐことができず、速攻でしか攻めを作れなかった。
ボランチが、もっと存在感を示して間延びした中での対応や、チーム全体を落ちつかすことができればと歯がゆかった。
山口蛍と扇原でもまだまだ経験が浅いが、試合の流れの中でいかにチームの舵取り役としてゲームを動かしていけるかが大きな課題。特に、流れが悪くなった時にどう修正できるかは、この「ボランチ」のポジションの役割が非常に大きいと思う。
ロンドン五輪で、山口蛍と扇原が揃って抜けるのは、やはりかなり痛いということが改めて実感できた試合でもあった。
試合には負けた。
ナビ杯は、リーグ戦の合間に予選リーグを6月末なで、残り5試合行う。
今後も、リーグ戦の状況に応じて、その都度、ナビ杯の位置づけや目的が変わると思われる。
セレッソにおいては、この予選リーグ第1節を「ベストメンバーでの連係」の為に使った訳だけれども、第2節は、どういった形で挑むのか?
また、ナビ杯としての結果とどう折り合いをつけていくのか?
リーグ戦を踏まえて、ソアレス監督の手腕に注目したい。