地域活性化勉強会~ツナグチカラ~ | IGS-report

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IGS-report 地域活性化勉強会~主催:NPO法人ツナグチカラ

2011年8月10日 19:00~21:00 

会場:国立オリンピック記念青少年センター





「水と森の番人が創る癒しの里」静岡県川根本町 、ここは限界集落と言われ、若者は町に働きに行き、人口の44.3%が65歳以上で生まれる子供が著しく少ない過疎化が進んでいた町だった。

現在100年後の日本の人口は4000万人になるというデータがある中、一体その頃になったら川根町の様な村はどうなってしまうのか、その問題に対して立ち上がったのが、東京は千代田区生まれの30歳の若者が立ち上げたNPO法人ツナグチカラという団体だ。彼の名は、武藤善彦さん。元々は、ご実家が千代田区の八百屋をしていた時に、父親が東京に行商として出てきて、八百屋という職業でよく自分達をここまで養ってくれたなと、父親の偉大さ凄さを感じた時に尊敬に対する認識が変化したとの事だった。

          

その後大学を出て、横浜の会社へ就職、新規事業として静岡県に関わる事になり、川根本町復興の依頼を受け、今まで働いていた職場を退社し、このNPO法人ツナグチカラを立ち上げて町の復興の為に人生をかけ動いている。

具体的には、若者がいなくなり放置された耕作地の再生から、地域特産品を使った新商品の開発、宣伝、販売・資金調達までを主軸に活動されている。

川根本町の耕作地は、平地ではなく斜面になっている為に、作物としてはお米などではなく、静岡らしくお茶が主流だそうだ。以前は川根茶と言えば茶葉の品質が格段に良く高級茶の代名詞という感じだったが、不況のあおりを受けて、値下げもやむなくなってきていた状況を、NPO法人ツナグチカラの武藤さんに協力する人達とアイデアを出し合って、和紅茶を作ったり、川根茶のチーズケーキ を商品として成立するまで開発をし、名産のお土産として売ったり、街の喫茶店やレストランで出して頂くまでにしている。当初、和紅茶と川根茶のチーズケーキとはそれぞれ別々に開発されていたが、セットにしたところ、その売り上げは相乗効果で格段に伸びたということだった。

このビジネスモデルは、川根本町だけではなく、どの地域の村でも、どの企業・業種でも、復興や新しい販売促進のヒントになるのではないだろうか。

又、このケーキは保存料を使用していないオーガニックな製品なので、大量には作れず、川根町のもうひとつの特産品でもある竹に入れて限定生産で販売した所にも、売り上げが伸びたという経緯があったということだ。(ツナグチカラさんのHPに掲載されているチーズケーキの写真 を見ると、確かに美味しそうだ。調理師免許を持っている記者から見て、材料なども含め、写真でもある程度までは解る)

こういうビジネスのヒントを惜しげもなく、皆に和気あいあいと話す武藤さんの存在は、

九州の戦国武将、鍋島直茂の「下の者の言葉は金のありかと思って聞け」という様に「下々の者の言葉はよく聞きただして耳を傾けよ。金鉱は地中にあるように、これら民衆の話には思いがけない有益な情報がある」という意味だが、日本や村を復興する為にも、年齢や世代に関係なく手本にしていかなければならないだろう。

又、静岡県川根本町は、平成6年に環境省から「澄んだ星空 全国第2位」という認定を受けた地域でもあり、それを記念して「三ツ星天文台」 という観測ポイントを特設し、毎週、金・土・日の午後7時00分~午後10時00分(受付終了:午後9時30分)に開館をして、三ツ星アストロノミークラブのスタッフが、四季折々の星空の説明を解り易くしてくれるということで宇宙や星愛好家の間では既に有名スポットだ。
天文台の隣には宿泊施設もあり、週末にかけて、普段プラネタリウムや肉眼では見れない星を、設置されている高性能望遠鏡を使って見るのも風流ではないだろうか?

又、空気が澄んでいるので、星空の写真撮影も良いだろう。

たとえプロにならなくても、これを機に写真にハマってもいいのではないだろうか。

他にも、日本で唯一ダムの上=中州にある駅「奥井湖上駅(=通称:秘境駅)」を通って、日本で唯一のアプト式専用機関車(2本のレールの上にもう1本歯形のついたレールがある) がアプトいちしろ駅~長島ダム駅区間を走っていたり、秋には猟が解禁されジビエ料理も堪能出切るそうだ。やはりその場所に行かなければ食せない食材というものがあり、本物のグルメや通ならば冒頭の川根茶のケーキ&和紅茶と共に興味をそそられる食材だ。

これだけ、様々な興味深い特産・名産を掘り起こして、全国に広めようとしているNPO法人ツナグチカラの武藤善彦さんは、県外から来た強みを活かし、自分自身の顔を広告にしながら村の人々との絆を深めて活動されている。

静岡大学に川根本町へのインターンのポスターを自分の足で貼り歩いて効果を上げ、

緑のふるさとと協力をしたい他の30代のボランティアやNPO法人の人達と、村の財産でもある朗らかな村の人の面白さを伝える為に、村の人100人を目標に取材訪問し紹介をして村の結束力を高めるなどの活動もしながら、それが終わると日々耕作地で汗を流して作業をしている。

因みにこの地域の耕作地では蕎麦も作れるので、ここでは大根蕎麦も有名とのことだ、暑い夏にサッパリとしてコシがある蕎麦を食すのも良いだろう。

日が昇ると起き、日が沈むと眠る、まさに晴耕雨読を絵に描いた様な生活だが、違うのは雨の日も風の日も武藤さんは向かい風にも負けず常に前進しているということだ。

きっと、武藤さんの様な誠実で熱い志の人間がこの国を良くする方へ向かわせるのだろう。

武藤さんは「ビッグマウスは言いたくない。小さい事を言ってそれを着実に1個1個約束を守っていきたい、そうしていると人は集まる」と言う。この言葉に彼の正直な人間性が集約されているのではないだろうか?

「星が好き」、「川根茶のチーズケーキや紅茶・ジビエが食べたい」、「アプト式専用機関車に乗ってダムの上にある駅へ行って見たい!!」、そうやって感情移入してくれる人が1人又1人と、川根本町へ来訪して頂ける様に、埋もれていた興味深いスポットを自ら掘り起こしそこに光をあて、積み重ねていくことで未来の地域活性化の成功に繋がるのだなと、武藤さんの話を聞いた後、集まった人達と忌憚の無いディスカッションをしていて感じた。