あらすじ
驚異の人工知能を持つミーガン(M3GAN)が、暴走して人を殺し(そして、完璧なダンスで)大暴れした後に破壊されてから2年。ミーガンの開発者であるジェマは著名な作家となり、政府によるAIの監視を求める活動を行っていた。一方、ジェマの姪であるケイディは14歳になり、過保護なジェマに反抗するティーンエイジャーに。
製作国・地域:アメリカ上映時間:119分
監督
ジェラルド・ジョンストン
脚本
ジェラルド・ジョンストン
アケラ・クーパー
出演者
アリソン・ウィリアムズ
ヴァイオレット・マックグロー
ブライアン・ジョーダン・アルバレス
ジェン・バン・エップス
エイミー・ドナルド
ジェナ・デイヴィス
イヴァンナ・ザクノ
アリストテレス・アタリ
ティム・シャープ
ジェマイン・クレメント
つぶやき
『M3GAN/ミーガン 2.0』を観終えたあと、正直なところ少し肩透かしを食らった気持ちだった。前作の「AIドールが静かに狂気を孕んでいくホラー」としての面白さを期待していたのに、今回はその“怖さ”の部分がほとんど影を潜めていたからだ。劇場に入る前は、ミーガンが再び恐怖の象徴として戻ってくると信じて疑わなかった。けれど、始まってみればホラーというよりも、SFアクションのようなテンポで物語が進んでいく。ミーガンが恐れられる存在ではなく、どこか“ヒーロー的”な役割を与えられているのも印象的だった。
物語そのものは、前作の続編としての整合性を保ちながらも、トーンががらりと変わっている。ミーガンが戦う姿は確かにスタイリッシュで、映像的な迫力も十分だ。しかし、あの“無表情な人形が、突然人間味を見せる瞬間のぞっとする怖さ”が恋しくなってしまった。前作では、AIと人間の境界がぼやけることで不安が増幅していったが、今作ではむしろその境界がはっきりしてしまい、安心して見られてしまう。おそらく監督は「人間とAIの共存」や「進化するテクノロジーの倫理」といったテーマを描きたかったのだろうけれど、私が求めていた“心のざわつき”とは別の方向に進んでいた。
観ている途中、ふと頭をよぎったのが『アリータ:バトル・エンジェル(2018)』だった。戦闘能力を持つ女性型アンドロイドが、自分の存在理由を探しながら人間社会に向き合うという構図が、どこか似ていたからだ。アリータもミーガンも、本来“人間が造り出した存在”でありながら、人間以上に感情的で、どこか孤独を背負っている。だが、『アリータ』は初めからアクション映画として成立していたのに対し、『M3GAN 2.0』はホラーの皮をかぶったままアクションに変化してしまったため、その変化がどうしても不自然に感じられた。怖さを期待していた観客にとって、その方向転換は少し乱暴にも思える。
それでも、全く楽しめなかったわけではない。ミーガンのデザインや動きの美しさは相変わらずで、特にクライマックスのアクションシーンには目を奪われた。前作で見せた“無機質な優雅さ”が、今作では“戦闘美”として生かされている点は見応えがある。人間側の登場人物たちも前作より感情的で、ドラマとしての深みは増していたと思う。ただ、それが「ホラー」と呼ぶにはあまりにも明るく、ポップすぎた。
映画を観終えて劇場を出たあと、私は小さくため息をついた。怖くなかったことへの落胆と、しかし別のジャンルとして楽しめた満足が、入り混じった複雑な感情だった。もし『ミーガン 3.0』が作られるなら、今度はぜひもう一度原点に戻って、“かわいくて恐ろしい”存在としてのミーガンを描いてほしい。人間の手に負えないほど完璧で、だからこそ不気味なAI――あの恐怖が戻ってくることを願っている。
