雑魚どもよ、大志を抱け!(2023) | 浮遊家具

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映画 大好き また 始めたいと思います。黄斑変性、SLE、双極性障害で仕事ができなくなり、一人、家の中にいる自分、置き場所のない浮遊して漂う家具のよう。ただ、時間だけが進んだ、治癒は進み現在に至る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ

地方の町に暮らす平凡な小学生・瞬(池川侑希弥)。心配のタネは乳がんを患っている母の病状……ではなく、中学受験のためにムリヤリ学習塾に入れられそうなこと。望んでいるのは、仲間たちととにかく楽しく遊んでいたいだけなのに。瞬の親友たちは、犯罪歴のある父(永瀬正敏)を持つ隆造(田代輝)や、いじめを受けながらも映画監督になる夢を持つ西野(岩田奏)など、様々なバックボーンを抱えて苦悩しつつも懸命に明日を夢見る少年たち。それぞれの家庭環境や大人の都合、学校でのいじめや不良中学生からの呼び出しなど、抱えきれない問題が山積みだ。ある日、瞬は、いじめを見て見ぬ振りしてまう。卑怯で弱虫な正体がバレて友人たちとの関係はぎくしゃくし、母親の乳がんも再発、まるで罰が当たったかのような苦しい日々が始まる。大切な仲間と己の誇りを獲得するために、瞬は初めて死に物狂いになるのだった。






上映日:2023年03月24日製作国・地域:日本上映時間:145分


監督

足立紳

脚本

松本稔

足立紳

原作

足立紳

主題歌/挿入歌

インナージャーニー

出演者

池川侑希弥

田代輝

白石葵一

松藤史恩

岩田奏

蒼井旬

坂元愛登

臼田あさ美

浜野謙太

新津ちせ

河井青葉

永瀬正敏






「どうせ自分なんて。」

人は、その言葉を初めて心の中でつぶやいた日を覚えているだろうか。

誰かと比べられた日かもしれない。

失敗を笑われた日かもしれない。

あるいは、自分には特別な才能がないと気づいた日だったのかもしれない。

『雑魚どもよ、大志を抱け!』は、そんな小さな挫折が、まだ「人生」になる前の物語である。

主人公は、ごく普通の小学生たち。

勉強が飛び抜けてできるわけでもない。

運動神経が抜群でもない。

自分たちのことを「雑魚」と呼びながら、毎日を全力で駆け回っている。

この映画には、大きな事件は起こらない。

世界が変わるような奇跡もない。

あるのは、友達と笑い、ぶつかり合い、少しだけ大人へ近づいていく夏の日々だ。

その何気ない時間が、不思議なくらい胸に迫ってくる。

きっと誰もが、一度はこんな夏を過ごしてきたからだろう。

この作品が心を打つのは、「雑魚」という言葉を否定しないところにある。

普通なら、主人公は最後に特別な存在になる。

大会で優勝する。

才能を開花させる。

誰かに認められる。

そんな展開を期待してしまう。

しかし、この映画は違う。

特別な奇跡を用意しない。

「雑魚」のままでも、自分の人生を歩いていけることを静かに肯定している。

その誠実さが、この映画らしさなのだと思う。

映像もまた、この物語に寄り添っている。

夏の日差し。

夕暮れの帰り道。

汗だくで走り回る子どもたち。

どこにでもありそうな風景なのに、一つひとつが懐かしく映る。

カメラは子どもたちを見下ろさない。

同じ目線で走り、笑い、立ち止まる。

だから観ている私たちも、いつの間にか「あの頃」の高さへ戻っていく。

私は映画を観ながら、自分が子どもの頃に何を信じていたのかを思い返していた。

未来はもっと自由だった。

失敗しても、翌日にはまた笑っていた。

友達と過ごす一日が、世界のすべてだった。

大人になった今より、何も持っていなかったはずなのに、あの頃の方が心はずっと豊かだった気がする。

この映画は、その記憶を無理に美化しない。

子どもにも悩みがある。

劣等感がある。

傷つくこともある。

だからこそ、少年たちの笑顔がまぶしく見える。

私は、この作品が描いているのは「成長」ではなく、「自分を受け入れること」なのだと思った。

人は誰かになろうとして苦しむ。

人と比べて落ち込む。

もっと優秀なら。

もっと人気者なら。

そんな「もしも」を考え続けてしまう。

けれど人生は、特別な人だけのものではない。

何者でもない自分にも、一度きりの人生がある。

その当たり前の事実を、この映画は少年たちの姿を通して思い出させてくれる。

題名の「大志を抱け」という言葉も、観終わる頃には少し違って聞こえてくる。

大志とは、有名になることではない。

誰かに勝つことでもない。

自分の可能性を、自分だけは最後まで信じてみることなのではないだろうか。

たとえ「雑魚」と呼ばれても、その一歩を踏み出す勇気こそが、本当の大志なのだと思う。

派手な展開を期待する人には、物足りなく感じるかもしれない。

けれど、自分にもこんな夏があったとふと思い出せる人なら、この映画はきっと静かに心へ残る。

大人になると、「何者になれたか」を考えることが増える。

この映画は、その前に忘れてしまったものを思い出させてくれる。

何者かになる前に、ただ夢中で明日を信じていた自分が、確かにいたことを。