ゴールド・ボーイ(2023) | 浮遊家具

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映画 大好き また 始めたいと思います。黄斑変性、SLE、双極性障害で仕事ができなくなり、一人、家の中にいる自分、置き場所のない浮遊して漂う家具のよう。ただ、時間だけが進んだ、治癒は進み現在に至る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ

総再生数20億回! アジア最高峰のドラマ原作を日本映画化! 義父母を崖から突き落とす男の姿を偶然にもカメラでとらえた少年たち。事業家の婿養子である男は、妻から離婚を切り出され焦っていた。遺産相続のためなら何でもする覚悟で犯行に及んだのだ。一方、少年たちも、複雑な家庭環境による貧困はもとより、少女は殺人の容疑をかけられた父の自殺や襲ってきた義理の父を包丁で刺してしまったことなど、さまざまな問題を抱えていた。「僕たちの問題って、全てお金で解決できるんじゃない?」朝陽は男を脅迫して大金を得ようと画策する。少年たちと殺人犯との二転三転する駆け引きの末に待ち受ける結末とは…。






製作国・地域:日本上映時間:129分


監督

金子修介

脚本

港岳彦

原作

ズー・ジンチェン

主題歌/挿入歌

倖田來未

出演者

岡田将生

黒木華

羽村仁成

星乃あんな

前出燿志

松井玲奈

北村一輝

江口洋介






つぶやき

岡田将生演じる東昇は、最初から最後まで感情の起伏がほとんど見えない。怒鳴らないし、暴れないし、むしろ落ち着いている。なのに、彼が画面に現れるだけで空気が冷える。たぶんこの映画は、「サイコパスってこういう顔をしてるかもしれない」という嫌なリアリティを徹底して描いている。

特に印象的だったのは、“悪人なのに魅力的”に見えてしまう瞬間があること。

普通のサスペンスなら、犯人はどこか醜悪に描かれる。でも東昇は違う。頭が切れるし、物腰も柔らかいし、身なりも整っている。人を支配する時ですら声を荒げない。その静けさが逆に不気味だった。しかも岡田将生の端正な顔立ちが、その異常性をさらに際立たせている。「こんな人、現実にもいそう」と思わせる怖さがある。

そしてこの映画、単純な“子ども vs 大人”の構図にしていないのが面白い。

少年たちは偶然、殺人の証拠を握る。でも彼らは純粋無垢な被害者じゃない。お金への執着もあるし、大人を信用していない。状況によっては平気で嘘もつく。だから観ているうちに、「どっちが危険なんだ?」という感覚になっていく。

羽村仁成の演技が本当に良かった。

まだ幼さが残る顔なのに、ときどき目だけが妙に冷たい。怯えているだけじゃなく、相手を観察している目をする。その瞬間、「この少年も東昇と同じ種類の人間になる可能性があるのかもしれない」と感じてしまう。この映画の怖さって、悪が特別な怪物として描かれていないところなんだと思う。

舞台の沖縄もかなり独特だった。

普通、沖縄が舞台だと開放感や観光地らしさが出る。でもこの映画では、青い海も空もまったく癒しにならない。むしろ“逃げ場のない島”として機能している。明るい景色なのに、ずっと息苦しい。

崖のシーンなんて典型的だった。

自然は綺麗なのに、人間だけがひたすら醜い。観光ポスターみたいな景色の中で、欲望と支配と恐怖が渦巻いている。そのコントラストがかなり不穏だった。

あと、この映画はかなり“昔ながらのサスペンス”の匂いがする。

最近の邦画サスペンスって、リアルさを重視しすぎて淡々と終わる作品も多いけれど、『ゴールド・ボーイ』はかなりエンタメ寄り。音楽も大きいし、展開も劇的だし、「そこまで上手くいく!?」みたいな場面もある。でも、その少し大げさな感じが逆にクセになる。

むしろ、「現実にありそうな犯罪ドラマ」というより、“悪人同士の寓話”みたいだった。

誰かが完全な善人ではない。みんな欲望で動いている。だから観ていてずっと居心地が悪い。

そして終盤に近づくほど、「結局、人間って環境次第でどこまで壊れるんだろう」という感覚が強くなる。

この映画、後味はかなり悪い。でもその“嫌な感じ”がちゃんと残るサスペンスって、最近意外と少ない気がする。

観終わったあとにスッキリする作品ではない。

でも、人間の暗さとか、弱さとか、他人を支配したい欲望みたいなものを真正面から見せられる映画だった。

そして何より、岡田将生が怖すぎる。

優しく笑っている時が、一番怖い。