今日は歌舞伎とは違う伝統のお話。

先日の伊勢へ旅しました時の外宮と内宮、その式年遷宮の事です。


式年遷宮とは20年に一度造り替えられ常に瑞々しい社殿で
永遠に変わらないお祭りに大きな意義があるのだそうです。

伊勢神宮だけに限らずいろんな社殿で行われていますね。


外宮と内宮の社殿のとなりに同じ広さの敷地があり
伊勢神宮ではなんと1300年もの間、この作業が
繰り返されているそうです。

1300年の長い期間であるのになぜ20年に一度の式年遷宮なのか?
なんとなくの素人考えなのですが、せっかく作ったものですので、
たった20年ではなく、もう少し長くもつものでは無いかと・・・
そう思ってしまいました(笑)


先日の旅行時には、まず外宮参道で朝食を取った後に、
時間を合わせて、「せんぐう館」という所を見学いたしました。


おそらく、普段はそれほど混んでいないでしょうが、開館直後のため、
入口付近は人が・・・説明のパネルの前は混みあっておりました

それゆえすべての説明を読めた訳ではないのですが、いろいろと勉強に
なりました。


20年と云う年数に関しては、いろいろな説があるそうですが、
神宮の柱は下に礎石のない掘立式であること、また、かやぶきである事。
耐久性の面では、そんなに永久的なものでは無いのでしょうね。



もう一つ、大切なこと。
それは建築の技術を常に後世に伝えるためにやり方を知らない人を
無くするための配慮だそうです。

新しく建築に携わった人は先輩よりその技術を教わり
また育った人は次の人にその技術を伝えていく、その期間が20年でちょうどいいと。
そのつながりが1300年もの長い間 伊勢神宮は守られてきたのでしょう。


現在の外宮内宮は、正面向かって左側に正殿がありました。

右側が古殿地という一代前の正殿があったところ、
そして次の正殿が立つための場所。

外宮の古殿地です。写真左に正殿があります。


倭姫宮は配置が逆でした。


また、別宮もいくつか行きましたが、全てに古殿地が用意されておりまして、
全て建て替えるんだ~と、当たり前のことだとは思うのですが、思わず感心。

これは確か、内宮の別宮の風日祈宮だったと・・・柵の向こうに同じ大きさの

古殿地が広がっております。



今回見たのが、外宮・内宮は左側にある(この表現が正しいかはわかりませんが)正殿。

左に正殿があり、右に同じ大きさの古殿地。
60年近く前に小学校の修学旅行で見たのは、三代前の右側の正殿だったわけですね。

家人は、二代前の左側の正殿と、先代の右側の正殿と見ているとか。
同じようで同じではないですが、同じ伝統が引き継がれている社殿と云う事ですね。



また、今回は別にも勉強になった事がありました(笑)

小学校の時には、さすがにこんな違いは知らなかったかなあ。
内宮と外宮では、それぞれ千木の形や鰹木の本数が違い、覚えますと
ついつい「あ、千木が平行だ」とか「こっちは垂直」とか。
鰹木の数も数えてしまいます(笑)


写真は、内宮で歩いている途中であった建物です。


倭姫宮に行きました時も「さて、ここはどっち所属?」と問題を出されても、
「千木が並行で鰹木が6本(偶数)だから 内宮!」と。エヘン!(笑)


それが正確には何を意味するのかまでは私も知りませんが
今回の旅行は色々と発見も多かったです。


ちなみに出雲大社の式年遷宮は60~70年に一度だそうですが、
その期間、人の技術を待つのは少し長いように思われますが
こちらはどうされているのでしょうか?(笑)



そう云えば、歌舞伎も俳優は代々変わっておりますが、
400年と云う伝統は、引き継いで来ております。

とはいえ、歌舞伎は新しいものも取り入れ、新しいものも作り出されてます。
伝統のものは伝統のもので変わらず引継ぎ、新しいものを常に作り出すことで
守ってきた歌舞伎。

おそらくまだ使えるものもあるでしょうが 古くからの伝統を守りながら
一度壊して、また新しく作る伊勢神宮。


日本の伝統を伝える力って、凄いなあと改めて思った旅でした。