昨夜、NHKでの勘九郎さんの佐野次郎左衛門と七之助さんの兵庫屋八つ橋の
『籠釣瓶花街酔醒』を最後まで見せて貰いました。

今年2月に歌舞伎座で勘三郎さん13回忌追善で上演された演目でした。

追善演目と云うだけあって繁山栄之丞に仁左衛門さん 釣り鐘権八に松緑さん
立花屋長兵衛に歌六さん 女房おきつに時蔵さんとと云う豪華な顔ぶれでした。


勘九郎さんや七之助さんは元より 橋之助さんの下男治六 児太郎さんの九重
志のぶさんの七越と云う私から見ればかなり若返った配役でしたね。

みんなそれぞれ若さを生かされ溌溂とした『籠釣瓶花街酔醒』でした。

中でもやはり勘九郎さんの佐野次郎左衛門に勘三郎さんの面影を見、
七之助さんの八つ橋は玉三郎さんを伝承して歌舞伎の女形の
美の極限を見るかのようでした。


そして未だに衰えない仁左衛門さんの栄之丞には感服しました。


私も何回か『籠釣瓶花街酔醒』に出させて頂きましたが、初めて出させて頂いたのは
1979年12月京都顔見世で歌右衛門さんの八つ橋、吉右衛門さんの佐野次郎左衛門 
下男治六に左團次さん 先代芝翫さんの兵庫屋九重で、私は九重付き新造九の君でした。
まだ27歳の時です。

私も若い頃はあったのですよ(笑)


思い出されるのが1999年12月の歌舞伎座の『籠釣瓶花街酔醒』で、
玉三郎さんの八つ橋に勘三郎さんの佐野次郎左衛門 立花屋長兵衛が先代又五郎さんで
私は若い者与助でした。

立花屋見世先で弥十郎さんの釣り鐘権八とのやりとり、と
又五郎さんの体格は小さいですが立派な立花屋長兵衛は忘れません

また、勘三郎さんの次郎左衛門を座敷へ上げてから玉三郎さんの八つ橋を
迎え入れた時の美しさは今でも覚えております(笑)

もう25年も前ですか?


ご子息の勘九郎さんの佐野次郎左衛門と七之助さんの八つ橋のベストコンビ、
勘三郎さんもきっと喜んでおられるでしょうね。

いや、芸には厳しい方でしたから「まだまだだな、」と思っておられるかも・・・(笑)
あちらから歯がゆい思いをされている・・・かも知れません


時代は変わる訳です。

これからは『籠釣瓶花街酔醒』が勘九郎さんと七之助さんの
レパートリー演目になって行くであろうことは明らかでした。

最後まで目が離せないお芝居でした。