昨日、観劇致しました歌舞伎座の昼の部、今日はその中の『引窓』と
『七福神』の感想を書かせて頂きます。

『引窓』まずは中村梅玉さんと中村東蔵さんに敬意を表します。
私が拝見した中では一番ご高齢の南方十字兵衛と
母のお幸ではないでしょうか。

ちょっとした出番でもお疲れになられるであろうに、
ひとつのお芝居のほぼ幕開きから幕まで通して舞台に居られるのは
大変な事だと拝察いたします。

そして、お年を感じさせない動きとお芝居の深さは云うまでもありません

実子と継子に対する母親の愛情、継子の十字兵衛がどこまでも義母を思い
実子の濡髪長五郎を逃がそうとする思い、感心致しました。

これが初日からつづけて来られた・・・とさらに感心致しました。

どうかあと3日無事に千穐楽までとお祈り致します。


松緑さんの濡髪と梅玉さんの十字兵衛の義兄とは少し年齢差を感じましたが、
逆に東蔵さんとの母子にはその差は感じませんでした。

お幸の立座りにそっと手を添えたりのその気遣いが母子の関係を
感じさせたりもしました。

扇雀さんのお早は遊女あがりの女房の雰囲気で私がお手伝いしていた頃の
お父上の藤十郎さんにとても良く似て来られました。

色んな所に上方式と江戸型の演出、台詞の言い回しの違いなどは感じましたが
素晴らしい『引窓』だったと思います。



ただ、ひとつ気になったのは十字兵衛が二人侍を伴って登場した時、
本来は入口の横に納戸があり、そこへ二人を一旦招き入れるか、
今回の様に納戸がない場合は納戸がある体で台詞で
「裏の納戸でしばらくお待ちください。」と屋台の奥へ訪いするのが
通常だったと思います。


今回は「しばらくあれにてお待ちください」と云われた二人侍は下手に入ります。
そこが「あれ? 外で二人を待たせたかな~?」と少し引っかかるところではありました。



『七福神』は若手七人による舞踊で18分は中の舞踊としては
ちょうどいい時間の長さですね。

隼人さんの毘沙門 新悟さんの弁天は1日の長があるように感じました。

あとの5人は正直、拵えが凝っていてはじめ誰が誰か?
わかりませんでしたが、鷹之資さんの布袋さんはちょっと
目を惹きましたでしょうか? 
あとから「あぁ、鷹之資さんかぁ~」と納得しました。

『引窓』の息詰まる展開の後の若手の華やかな踊りは
本当にいい息抜きになりました。

明日は『夏祭浪花鑑』の感想を書かせて頂きます。