今日の読売新聞21ページ文化欄に『ハワイ「地歌舞伎の130年」』

と題して 門之助さんご夫婦のハワイ大学での歌舞伎の授業の様子が

写真入りで掲載されていました。
かって尾上九郎右衛門さん 先代中村又五郎さんも関わっておられた「ハワイ歌舞伎」

今、ハワイ大学で「白浪五人男 浜松屋 稲瀬川勢揃いの場」を
門之助さんがあちらの学生さんたちに教えられておられるのですね。

その発表会が4月にハワイ大学のケネディセンターで上演され
6月1日には岐阜市のぎふ清流文化センターで、

2日は相生座で上演されるそうです。

外国の学生さんたちが英語で演ずる「白浪五人男」
私も見てみたい気が致しました(笑)

門之助さんも歌舞伎を拡げるために活躍され

精力的で本当に頭が下がります、ご苦労様です。



さてこちらは沼田歌舞伎地芝居の昨日からの続きですが、

『太閤記十段目』とともに沼田歌舞伎で上演されました

『菅原伝授手習鑑 寺子屋の段』

この演目で地芝居ならではのとても珍しい型が用いられておりました。

松王丸夫婦の子、小太郎は菅秀才の身代わりに武部源蔵に討たれてしまい
その首は春藤玄蕃が持ち帰るお定まりのお話ですが、
珍しい型はここからです。

現在、歌舞伎座で上演されている『寺子屋』でも小太郎の弔いは
座敷の中で焼香台を戸浪が持って来て義太夫で「いろは送り」にかかります。

沼田で上演された型は「いろは送り」になりますと首実検の時に
松王丸が乗ってきた駕籠(あんぽつ)を仲間(ちゅうげん)が
黒御簾前に運んで参ります。

その扉が開かれると戸浪が千代から経帷子(きょうかたびら)受け取り
小太郎の亡骸を抱いて駕籠に乗せます。
もちろん首は玄蕃が持って行きましたから胴体だけの亡骸です。


珍しいのはここからで御台若君の焼香のあと松王丸の焼香となりますと
戸浪が黒御簾前の駕籠のところまで焼香台を運んで行きます。
松王丸は座敷から降りて 下手の駕籠のそばまでやって来て

立ったまま駕籠に手をかけ 泣き上げの焼香が行われます。


客席から見せて頂いた時「こんな型があるんだ!」と感動致しました。


猿翁旦那も『奥州安達原』の安倍貞任を勤められた時、地芝居の型を
取り入れられておられました。

私も若鮎の会で『熊谷陣屋』の相模を勤めさせて頂いた時、
小次郎の首を受け取る時は直接、熊谷次郎直実から打掛で受け取る
先代梅玉さんの珍しい型を中村桜彩さんから教わりまして
勤めさせて頂きました。


沼田で『寺子屋』を拝見してから40年。

この型はまだ沼田では引き継がれているのでしょうか。


埋もれてしまうにはあまりにも惜しい珍しい型 
いつか埋もれてしまうであろう独特の型、
どこかでいつかまた見られる事が出来ればいいなあ~と思います。