『ヤマトタケル』も38年も公演を続けていると当然、

役者さんも変わり演出にも変化が出て参ります。

今は上演時間も限られて来ており、初演時のように5時間という長い時間は

お客様もお疲れになり、ご覧になっていても飽きられてしまいます。
そこで上演するたびにどこかしらカットしなくてはならなくなってしまいます。

これは現在では致し方ないのですが、当然消えて行ったお役もございます。

 

 

1幕1場と3場に舎人が勢揃いしておりますが

この舎人の帯や帽子の縁も青い色です。

 

1幕3場の王宮内で小碓命が兄の大碓命を殺害した事を父に訴えます。

父の帝はびっくりしますが、この時「大碓命様の遺骸が見つかりました、」

と報告に来る舎人がおりました。

 

この舎人は先の青い色の舎人ではなく帯も帽子の縁も赤い色で

私たちは「赤舎人」と呼んでおりました。

確か3人くらいが次々に報告に来ておりました。

澤五郎さんや、猿四郎さんがつとめておられた記憶があります。

しかしこの赤舎人はいつの間にか登場しなくなりました。

 

 

また1幕5場の「熊襲」の場面、ここに琉球の踊り子と

吉備の国の兵士が登場しますが、初演、再演時には

踊り子を引き連れて来ていた琉球の使者と吉備の兵士の長、スダチがおりましたが

この2人も登場しなくなりました。

 

琉球の使者は先代の猿三郎さん、そして私もつとめた事があります。

スダチの方は寿猿さん、猿十郎さんがされてましたね。

先日放送された1995年の『ヤマトタケル』でも見る事が出来ますので、

ご興味のある方は、確認してみて下さい。

 

逆に今回、久方ぶりに復活したお役もありますが、過去いくつかご覧になられた方は

お気づきになられましたか?

 

 

初演からしばらくは、1幕の宮中の場では、後のひつぎの御子になる根子命以外にも

数人の皇子が出ておりました。確か4人だったかと。

 

その後、いつの間にやら1人になっておりました。

今回は、3人が並んでおります。懐かしい形に戻った事になりますね。

 

 

 

時間的短縮と人員削減でどうしても登場しなくなったお役、

なんだか寂しい気も致しますが長い間にはこう云った事も起きてしまいます。

 

次もまたどんなお役が消えていくか・・・。

 

お芝居をご覧になる時はお役を目に焼き付けておいてくださいね(笑)