11月は『霜月』、現在は陽暦ですから陰暦と季節がひと月ほどズレ
本来なら12月から1月にかけての和風月名の呼び名です。

東京はそのひと月のズレさえもそれ以上に錯覚させてしまうほどの今の気温。

霜月とは云え、まるで8月の終わりから9月あたりにかけての今日の気温です。
明日はまた25℃越えの夏日だそうです。未だに夏の終わりの様で秋がありません

この分だと本当に冬も寒さが来ず暖冬となってしまうのでしょうか?


とは云え地方は朝晩の冷え込みは大きくなり、山はどんどん紅葉が増えて来て
観光客を楽しませてくれております(笑)

私は北海道で紅葉どころか、雪までもを先に見てしまったので

東京の今の暑さに勘違いしてしまいます。

日本列島は南北に長くて四季があり本当にいい国ですね、と云うのが今まででしたが

段々そうも云えなくなってくるのでしょうか。

とはいえ、四季を楽しみ、四季を愛でるのは日本人の得意とするところ。
歌舞伎でちょっと四季を味わってみましょう。

『京鹿子娘道成寺』や『吉野山』の舞台は桜が満開です。
『熊谷陣屋』では舞台下手に桜の木がありまた『菅原伝授手習鑑 佐太村』では
上手に桜の木がありますね。

そして『夏祭浪花鑑』や『名月八幡祭』は夏祭りが題材の演目。
舞台では本水さえ使用されます。

秋は舞踊の『紅葉狩』や内容は少し違うかも知れませんが『慙紅葉汗顔見勢』には
題名に紅葉の名称が入っております。

冬は『仮名手本忠臣蔵』の討ち入りは雪ですし『鷺娘』も大雪が舞います。 
『雪夕暮入谷畦道』の直次郎も深々とした雪の中のそば屋。


歌舞伎には四季を彩るものがたくさんありますね。
実際に季節を感じたいとお思いの方は今月の歌舞伎座、
明日初日の夜の部をお勧めします。

夜の部の『松浦の太鼓』の大詰めは表玄関の場面で雪化粧です。

『鎌倉三代記』は直接季節がわかるところはありませんが
浄瑠璃の中で「沢の蛙の声々も・・・』と云う部分があるので夏でしょうか?

『春調娘七草』は題名通り春、『三社祭』は5月ですから春の終わり・・・。
『教草吉原雀』も中央には桜が満開。

この舞踊三題の最後の演目『顔見世季花姿櫓』は春を表しておりますね(笑)

こじ付けですが3つの演目でここにも秋がありません(笑)

みな様も季節に合った歌舞伎の演目を考えて楽しんでみるのはいかがでしょうか。