「新・水滸伝」の物語では衣裳や色彩が重要な役目を果たしております。

主人公の林冲は一人、ず~っと歌舞伎独特の大時代な馬簾(ばれん)と云う
縫物の着付けを着ております。

中国のお話で他の出演者はほぼ中国的な衣裳にも関わらず
林冲とまったく違和感を感じないのも不思議だと思われませんか?

これスーパー歌舞伎 衣裳マジックですね(笑)


また独龍岡の祝彭や兵士たちのカラーは青、高俅や張進、それに朝廷軍は紫、
梁山泊軍はみんな 赤をポイントとした中国的で鎧などでも

個性的な色の衣裳を着ております。


これが2幕に入り、林冲が梁山泊に心を動かされる件になる
宙乗りから宿敵高俅を討つ場面では馬簾の衣裳が赤に変わります。

宝や食料を奪って晁蓋達一行が帰って来ると迎えに出る梁山泊の女性陣も
だんだん衣裳が赤っぽくなって参ります。

そして「替天行道」の旗の元、みんなが血判で誓いを立てると旗自体が赤に変わり、
大詰めは女性陣は赤の衣裳、男性陣は全員、赤のマントなどを身に纏い
林冲と梁山泊軍の決意の強さを表しております。

 

そして最後は梁山泊軍が一丸となって朝日が昇ると云うイメージで

太陽を表しております。

 

 

心の動き、皆の結束が色で表現されていると思って頂ければよろしいかと。

 

 

実のところ、初演あたりではもう少し林冲の心の動きと衣裳の色の変化が

細かく変わっておりまして、衣裳を見ても明らかなようになっていたのですが、

今回の演出では、その細かい変化が無くなってしまいました。

ですが、それでも紫から赤への変化を見られますね。


この衣裳の色の変化でお客様も知らないうちに「新・水滸伝」の物語に
のめり込んでおられるのです。

すでにそれを感じておられるお客様も居られるでしょうが、
次にご覧になられる時、改めて衣裳の色の変化もお楽しみくださいませ。

 

客席でももしかしたら 梁山泊の赤の衣裳にちなんだ差し色をされている方も

居られるかもしれませね。

そんな楽しみ方もできそうな、新・水滸伝の舞台です。