今回の「新・水滸伝」では幕開きから音楽がかかり、劇中の梁山泊では
メンバー全員で歌まで合唱すると云うおよそ歌舞伎らしかならぬ演出が
使われております。

そう音楽がこの「新・水滸伝」では大きな要素なのです。


その音楽はもうお亡くなりになられましたが加藤和彦さんが担当されておられました。

加藤和彦さん 私の年代の方ならその名を知らない人は居られないでしょう。

一世を風靡した「帰ってきたヨッパライ」の作曲家でフォーク・クルセダーズと云う
フォーク・グループの一員でした。

その後の「イムジン河」は色んな意味で発売前日に販売中止を余儀なくされた
記憶は今でも生々しく覚えております。

そしてその日に急遽、作曲されサトウハチローさんが詩を加え

1ヶ月後に販売された「悲しくてやりきれない」は大ヒット!
その後も「あの素晴らしい愛をもう一度」などの名曲を何曲も作られております。

加藤さんは私たちの年代にとってはフォークの神様のような方でした。
まさか後年お仕事でご一緒させて頂けるとはこの時は思いもよりませんでした。

猿翁旦那や私とのご縁は平成元年、横浜開港130周年記念の

スーパーオペラ「海光」でした。

この後猿翁旦那が「新・三国志』シリーズのテーマ曲を加藤氏にお願いされ
その後「新・水滸伝」の音楽をも担当されたのです。

今、歌舞伎座で使われている曲はこの加藤和彦さんの作曲です。
(「梁山泊の歌」は再演の時に別の方によって付け加えられましたが、

 モチーフはテーマ曲に沿って作られております。)

「新・水滸伝」の幕開き、梁山泊登場の物語にふさわしい壮大なテーマ曲、
毎日この曲を聴きながら軽井沢などのお稽古場で
加藤さんと過ごした日々などを振り返っております。

今、その人が居られなくとも厳然とそこに作られた曲が息吹いているのが凄いですね。
改めて加藤和彦さんの偉大さを思い浮かべる幕開きです。