明治座5月公演昼の部の「不死鳥よ波濤を越えて」は44年ぶりの再演です。

再演があると聞きまして、まさかもう一度この演目が上演されるとは、

さらに、まさかもう一度私自身が携わる事になるとは・・・と驚きました。

 

44年。

半世紀近い時を経て、不死鳥のようによみがえったこの演目ですが、
前回の公演に出演して居るのは今回、猿弥さんと私の二人だけです。

前回の梅田コマ劇での公演と 今回の明治座の再演の出演 両方出ておりますのは

たった2人です。



猿弥さんはたしか金の国で知盛のお世話をする子供でした。
私は幕開きの白拍子と金の国の兵士だったでしょうか?
いずれにしても遠い昔の話ですね(笑)

 

 

お稽古中は結構話しておりましたので、出ていた事は確認しましたが、

詳しい話はしておりません

 

今度時間があったら、どこまで覚えているか聞いてみましょうか。




平知盛はもちろん猿翁旦那で、宋の国へ連れて来る隼人さんの楊乾竜は段四郎さんでした。
笑也さんの陽炎は田之助さん 壱太郎さんの若狭と紫蘭は時蔵さん
下村青さんの武完は坂東吉弥さんが勤めておられました。
前回はあまり歌を歌う場面はなかったような、でも記憶も曖昧なので・・・。

 

鴈治郎さんの平通盛はお祖父さんの二代目鴈治郎さんが勤めておられました。
世代を超えてご縁のあるお役を後年お孫さんが勤めると云うのは
伝統歌舞伎ならではですね。

その他色んなお役を勤めておられた多くの方が鬼籍に入られたのも寂しい処。
44年の歳月はそれだけ長かったと云う事でしょうか?


今回は最後に猿之助さんが不死鳥となって宙乗りを披露されておりますが、
44年前は宙乗りはなくその代わり巨大なクレーンの不死鳥に知盛が跨って
舞台上から客席へせり出すという方法がとられておりました。

この実験的なコマ・グランド歌舞伎「不死鳥よ波濤を越えて」はその後
スーパー歌舞伎へと発展して行ったのです。

スーパー歌舞伎の歴史をすべて知っているうちの1人だと自負しておりましたが、

「不死鳥~」を入れましたら、もっと長い歴史に携わって来た事を実感しました。