近頃は写真と云うのがスマホで簡単に撮れますね、それに今やカメラと比べても
見劣りしないくらい画像が綺麗ですしプリントアウトしないでそのまま保存もできます。

たくさん撮ってもいいものだけをピックアップできますし何しろ場所を取りません

昔のカメラで撮った写真はフィルムですし現像するまでは
撮れているかどうかも分かりません

現像してからもアルバムにしない限りたまっていく一方で
肝心な見たい時にどこへ行ったかもわからなくなってしまいます。

ご多分に漏れず私の昔の写真もいくつかのケースに入ったまま
日の目を見ないでおります(笑)

今日たまたま、探している写真があったので開けてみると
懐かしい写真が出て参りました。

2002年9月の帝国劇場で上演された『残菊物語』の写真、
川口松太郎さん原作の新派のお芝居ですね。もう20年になります。

 



私が帝国劇場に出演させて頂いたのは1966年10月の
「二代目中村吉右衛門襲名興行」のこけら落し公演の時と
この2002年9月の2回だけ。


この時は市川右團次(当時右近)さんの尾上菊五郎 女房お徳に十朱幸代さん
五代目菊五郎に杉浦直樹さん  大阪の下宿の女主に藤間紫先生と云う配役。

私は五代目菊五郎の弟子の新蔵で幕開きは総ざらいのお稽古風景から始まります。

私は『車引』の梅王丸のお役で  右團次さんの桜丸 

お芝居の中で桜丸の出来がひどく 父である五代目菊五郎に怒鳴られて

途中でお稽古が終わってしまうと云う場面でした。



杉浦さん この時初めて歌舞伎と云うお芝居に携わられカルチャーショックを
受けておられました(笑)
「私が今までやって来たお芝居が何も通用しない。」・・・と。

劇中劇と云うよりお徳が危篤になったという知らせが入った時、
ちょうど『め組の喧嘩』の辰五郎の扮装しておられました。

その歌舞伎のメイクを毎回私が担当させて頂きました。




ついでに十朱さんとも一緒に写真を撮らせて頂きました。
フィルムが古いのでちょっと色褪せておりますがお許しください。



舞台上は道頓堀中座の楽屋だったのですが、この時中座が建て替えのための
調査中にガスの配管の手ちがいから大爆発を起こし炎上したと云う
悲しいお知らせが入りました。

結局、肝心の探し物の写真は出て来ず、この写真に魅入られました(笑)

ちょっとした午後のひと時、いい思い出に浸るいい時間になりました。