歌舞伎座『七月大歌舞伎』も一週間が終わり明日は休演日を迎えます。
第1部「當世流小栗判官」もお陰様で好評です。

2幕の「浪七住家の場」は琵琶湖の畔、私の四郎蔵も在所は膳所(ぜぜ)ですから
当然上方弁で喋っております(笑)


方言と云うともちろん地方でそれぞれの独特の言葉がございますが、
上方弁もご多分に漏れません(笑)

江戸の方や地方の方は上方弁、特に大阪弁には戸惑われるかもしれませんね

大阪の独特の言葉、もちろん関西にお住まいの方は充分お判りでしょうが
ちょっと上げて見ますが東京や地方の方はどれだけがお判りでしょうか?

ほたえる いちびり いけず 等々

直接的な意味ではありませんが

ほたえるは、あばれる。 いちびりは、ふざける。 いけずは、いじわるなどと訳せるでしょうか?


この他に相手の事を云う時に使う「われ!」
「我(われ)」と云うのは自分の事を云いますが、大阪弁ではYOUの事を
発音が少し違いますが「われ⤴」と云います。

今月の私、四郎蔵も橋蔵(巳之助さん)が「代官の役をさせてくれ」と云った時、
「われの様なやつにさせられるかい」と申しております。

これに似た言葉が「わが身⤴」これも自分の事ではなく相手の事です。

「双蝶々曲輪日記 角力場」は大坂が舞台、ここに登場する濡髪を贔屓にしている
若旦那の与五郎が相手の事を指すこの「わが身」と云う言葉をよく使います。 

 

この2つの言葉は大阪弁と云うよりは、上方言葉。

今現在では普段使いで使われる事は、それほど多くはないかも知れません

 

 

似たような言葉で、今現在でもよくつかわれる言葉が「自分」

「自分自身」と云う意味の「自分」ではなく、相手の事をさして云う言葉です。

 

大阪の子供時代には相手の事を「自分な」などと使っておりましたね。
「自分な、それでええと思ってるん?」という具合に・・・
私はあまり使いませんが、義妹が使っているのをよく聞きます(笑)

 

地方の方が聞いたらややこしいですね(笑)



余談ですがこの若旦那の与五郎みたいなお役の事を「つっころばし」と申しますが、

この言葉も歌舞伎独特の言葉ですね(笑)


他に大阪弁ではありませんが、私が普通に使っていて その意味が家人に分からなかったと

云われたことのある (おそらく)歌舞伎由来?の言葉に
「づかす」「いってこい」などの言葉があります。

づかすと云うのは「愛想尽かし」の「尽かし」の変形ですね。

「いってこい」と云うのはAさんのお金がBさんへ行き  
またAさんの所へ返って来た場合の様な事。

またはA劇場とB劇場とを掛け持ちでAからBへ行き またA劇場へ帰ってくる場合など
「”いってこい”やな!」などと使いますが、皆さんはこんな言葉 使われますか?


うちは双方 家の中では大阪弁、外では標準語のバイリンガル(笑)ですので、

互いの使っている言葉は似通っておりますが、出身の違う方同士でしたら

もっと大変なこともありそうですね。

 

ゴミ箱に「これほっといて」「これほかすん?」とも云いますし、

からかわれた返しに「ほっとってんか!」(かまうな、放置しておいてくれ 的な意味)

電話を切ったり、一旦わかれたりするときには「ほなな」「ほなね」(それではまた 的な意味)

 

「ほ」ばっかりですね(笑)



今日のブログは大阪弁から別の言葉の使い方まで行ってしまいましたが
大阪弁は私たち大阪生まれの人間が使うと当たり前のように聞こえますが、
江戸や地方の方が聞かれると不思議に聞こえますでしょうね(笑)

いろんなところにお住いの方でこんな言葉があると云うのがございましたら
又、教えてくださいませ。