先月はお休みでしたので通勤はありませんでした。
従いまして先月は通勤中の読書がなかったのです。

実は4月の通勤時に読んでいた文庫本は4月中に読み終わっておりました。
ですから今月はじめから通勤時、何を読もうか?迷っていたのです。

最近読んでいたあさのあつこさんの時代小説もほとんど読みつくしましたし、
佐伯泰英さんのシリーズもちょっと興味がそれてしまい 止まってしまいました。


初日が開いて1週間くらい車内で読む物がなく地下鉄に乗っていて
なんか手持無沙汰、乗車時間20分がとても長く感じました。

実は、むか~し昔読んだ あるシリーズを読もうと、しまってあるのを出してきました。

「久しぶりやなあ~覚えているかなあ~」
と少しワクワクしながら、いつものブックカバーを付けてカバンに入れて、

いざ電車の中で読もうと ページを開きました。

 

そして猿三郎、固まりました。

 

見えない!!!

 

眼鏡!・・・いやかけてる

あれこれ、遠く見る用か??・・・違うわ・・・〇眼用や・・・

 

 

 

昔の文庫本だからでしょうか、字が小さいのです。めちゃくちゃ小さいのです。

 

・・・撃沈・・・

静かに本を閉じました。

昔はこの小ささになんの不便もなく、裸眼で読んでいたのですね。
その日の通勤は、ただただカバンに文庫本が入っているだけになってしまいました。

 

後日、なにか新しい本をと 有楽町の本屋さんに寄りまして探しました。

目的がなく本を探すとなるとなかなか難しいもの、
そんな中でふと目にとまりましたのが「八本目の槍」と云う文庫本。

豊臣秀吉が信長亡き後天下を統一をするために北庄城の
柴田勝家と戦った時に活躍しました秀吉のお小姓組、賤ケ岳七本槍の七人が主人公。

七人とは加藤虎之助(清正)福島市松(正則)加藤孫六(嘉明)平野権平(長泰)
脇坂甚内(安治)糟屋助右ヱ門(武則)片桐助松(且元)

後に活躍して大名になった人がほとんどですが、なぜ「八本目の槍」
と云う題名なのか気になりまして購入しました。

作者は先日直木賞を受賞され「羽州ぼろ鳶組」シリーズでも有名な今村翔吾さん

私は文庫本一冊の長編かと思いましたが読みはじめまして、
一本槍加藤清正で一人の物語が終わりました。

あれ? と 二本目の槍を読み始めましたら舞台は秀吉の朝鮮出兵あたりから
関ヶ原の合戦 大坂の陣くらいまでで七人それぞれが主人公なのです。

当然時代が同じですから1話ずつには残りの六人が脇役としてそれぞれ登場致します。

そしてこの七人の物語に必ず登場する人物、それは石田佐吉(のちの三成)

この七人に重要な形で関わって参ります。ここでふと合点がいきました。
なるほど「八本目の槍」とは石田三成のことか・・・と。

読んで行くうちにだんだん引き込まれ七人が主人公のようでいて
それに関わっている石田三成が主人公の様に思えて来ました(笑)

この視点は面白い着眼点だなあ~と。

賤ケ岳で一緒に戦った仲間たちの七人が関ケ原の合戦では敵味方になったり、
また大坂の陣では苦渋の選択を迫られたりと、自分の思惑とは
どんどん違う方向へ行ってしまった様子がよく分かります。

なかでも三本槍の脇坂甚内の件はのちのちの色んな人が絡み合い
「え?これ史実? フィクションだよね。」と思わず作家の意図に
乗せられるところでした。しかし面白いお話を繋げて来るものだなあ~と
感心しました(笑)


私、司馬遼太郎さんの「関ケ原」も大好きなのでこの時代のお話が面白いです。
まだ四本槍の片桐助松の件ですが、この人が主役の歌舞伎が「桐一葉」

もちろん秀吉や加藤清正などは歌舞伎にもよく登場致します。
現在通勤時間に歌舞伎の筋を思い出しながら読んでおります。

面白い本に出合えると地下鉄の時間が短いです(笑)

もし次に何か読まれるのをお探しのお客様「八本目の槍」をお勧めします。


ちなみにこの本を買う時に、先にもう一度読もうと思っていたシリーズの

現在の本を確認したところ、文字が大きくなっておりました。

 

でも、同じ本をもう一度買うのもなぁ~ 断念します(笑)