今月の楽屋は6人部屋です。
ですが、そのうちの3人とは、一度も顔を合わせる事はありません

私たちが、舞台を終え、楽屋を出てから彼らが入りますので、
同じ空間を使っておりますが、なんだか不思議な気分です。

とはいうものの、以前は決して一門同士では同じ楽屋にならなかったりして、
まるで一人部屋の様に寂しく過ごしていたことを考えますと、
同じ楽屋に誰かが居ると云うのは、なんだか少しうれしい変化です。


今月顔を合わせない3人は、化粧前を見るばかり。

楽屋では、初日前に一度楽屋づくりをしますと、そこから1ヶ月は、
席替え??(笑)は致しません。

名題以上は、本来は歌舞伎座では自分の化粧机を持ってまして、
それを使います。

幹部さんになりますと、他の劇場に行きます時にも 共に持って行きますが、
私たち名題は 荷物の関係もあり、一応は歌舞伎座に置いたままです。
近いですが、新橋演舞場に出演する時にも 持っては行きません


初日前に、化粧机を出しまして、その上に化粧品などを並べます。
化粧品はみんな似たようなものを使っておりますが、水を入れる容器や
薬味箱と云っておりますが、「紅」や「墨」などを入れておくパレットの様なもの、
それぞれが使いやすいように工夫したものを使っております。


また、化粧品の配置などは、きっとそれぞれに自分自身の決まりがあり、
こだわりがあるのだと思います。

私個人の事ですが、右側に卓上カレンダーと時計、左側に筆立て。
これは絶対です(笑)

その配置したものを「化粧前」と呼んでおります。
これは舞台用語?だと思います。普通に云いますと、化粧台?でしょうか?


もう一つ、この化粧前、帰る時には布をかけてから帰ります。
もちろん、ホコリなどが入る事を防ぐためと云う意味もありますが、
この布がかかっていると「いませんよ」と云う事を示しております。

同じ楽屋の人がいつも自分よりも早く来ているのに、「あれ今日はまだか」
などと云うのは、化粧前にカバーがあるかないかで 一発で分かります。


目に見える出欠確認の様なものですね(笑)


布には特に決まりはありません。
それぞれが好きなものを使っております。

私はここ10数年は同じものを使っておりました。
家人に頼み 名前を入れてもらっていたのですが、
何度も何度も何度も洗ったので、そのうち一部がはがれてしまい
「Enzaburou」だったものが「zaburou」になってしまい、
ついには「burou」に。
「Enza」が家出をしてしまってました(笑)


「作ってくれへん?」と家人にお願いしていたのですが、ようやく完成。
他に作っていたものがあったために、やっと私の順番が回って来ました。

でも、作り始めたら早い早い、1週間ほどで出来上がりました。

先日、その化粧前カバーをデビューさせました。


光の関係で少し緑がかって見えますが、スカイブルーです。
今度は刺繍してもらいましたので、名前も家出しない事でしょう。


最近はかけるたびに「burou」・・・と思っておりましたが、
心機一転、新しい化粧前カバーで気持ちも新たに千穐楽まで頑張ります。