今日は節分、豆をまいて鬼を退散させる日ですね(笑)

鬼は鬼門、つまり丑寅の方向に居るとされ、ですから
牛の角が頭にあり、腰には虎の毛皮を巻いております。

なんかこの描写だとあまり怖くないかも知れませんね(笑)


歌舞伎でも鬼が出る演目は多数ございます。
まず第一に思い出されるのが新古演劇十種のうちの『戻橋』と『茨木』

京の都、一条『戻橋』で美女に化けた茨木童子(鬼)の右腕を斬り落とした渡辺綱。
その腕を取り返しに『茨木』では渡辺綱の伯母に化けて綱の館までやって参ります。

情にほだされて伯母をうちに入れて鬼の腕を見せたとたん
茨木童子は鬼の本性を現します。

舞踊の後半は茨木童子と渡辺綱との壮絶な立ち回り、惜しくも綱は茨木童子を取り逃がし
腕を取り返した鬼は花道を六法で勇んで入ります。

この茨木童子、豆を撒いたくらいではどうも退散しそうにありません(笑)

面白いのは一条『戻橋』で右腕を切り落とされたのに『茨木』では左腕がありません(笑)

ま、これはお話としては一応繋がっているのですが、舞踊としては通しの演目ではなく
舞踊の狂言が違うと云う事でこのようになっているのです。ご了解ください。

片腕でも右腕がないと舞踊らしくならないと云う理由で、左手になっているそうです。
杖などを使う所作は、右で持っておりますので、踊っているほうも見ているほうも、
それを左手ですると、違和感ばかりになるのでしょう。


鬼が女性で有名なのは『紅葉狩』の戸隠山の鬼女でしょうか?
更科姫に化けて平維茂(たいらのこれもち)をたぶらかそうと致しますが、
維茂の名剣、小烏丸の威徳にて本性を現します。

実は、のちシテとなって本性を現した鬼が登場する作品、私は好きです(笑)
前半の綺麗さと後半の隈取をとったお化粧と立ち回りの荒々しさ、
まさに歌舞伎の醍醐味ですね。

鬼にもいろんな種類があって他にも鬼が登場する作品はたくさんあります。

例えば典型的な「鬼」の姿で出て参りますのは『ヤマトタケル』の青鬼と黄鬼。
現在の上演では、どこかコミカルな二人? 二匹ですが・・・、
立ち回りには赤鬼、緑鬼などたくさん登場しておりましたね。

山神も姥神も広義では鬼です。

また、記憶に新しいところでは『新版オグリ』にもたくさんの鬼が出てきました。
高橋洋さんの鬼の印象が強く(笑)どこかコミカルですよね。

コミカルな鬼ばかりならいいのですが、そうも言っておられません。


昔は鬼と云うものは怖い存在で、悪い事をしたらそれらが押し寄せて来ると云う
子供たちにとっては避けたい存在でした。
今では、そういう教育は問題があるとされているようですが・・・。

ですが今は人の心の闇に住む鬼の方が多いようで、最近は頻繁に現れているように
感じられます。

コロナもなにかの鬼の警告かも知れません

怖がっている鬼の正体をしっかり見極める必要がある社会になって来たみたいです。