今月の第3部に『吉野山』が上演されておりますが、この狂言もよく出ますね(笑)
ですが忠信と静御前の組み合わせや演出の形式は本当に限りがありません

今回は早見の藤太や花四天は登場せず、もっともシンプルなやり方で、
演奏も竹本の義太夫で唄が3人 三味線が3人の6人です。

今回の『吉野山』私は見られていないのですが、花道の引っ込みはあるのでしょうか?
この場合は黒御簾の合方にのって花道を入ります。
それとも舞台で柝が入り忠信と静御前が舞台のまま幕でしょうか?
御覧になられたお客様 もし知っておられたらお知らせくださいませ。

もちろん花道の引っ込みで狐に替わるぶっ返りはおもだかやのお家芸ですから
これはありません

竹本での演出の時 屋島(壇ノ浦)の物語の件で着付けを両肌脱ぎになりますと
忠信の襦袢が赤となります。

この衣裳にも二通りございまして、着付けの源氏車が大きい時は肌を脱いだ時の
赤の襦袢の源氏車は小さくなり 逆に着付けの源氏車が小さい時は
赤の襦袢の源氏車が首抜きの大きな柄となります。

今回の松緑さんが選ばれた方は後者の大きな赤の首抜きの源氏車ですね。
これは勇ましさの表現です。
 

 

また、演奏が清元になりますと襦袢が浅葱色になり 物語もしっとりと演奏されます。

また七之助さんの静御前は今回 赤の打掛を着ておられます。
昨年の休演明けの8月、猿之助さんとの『吉野山』道行の時は白の衣裳でした。

何回ご観劇頂いてもその都度、趣を変える『吉野山』の演出は
ご観劇のお客様をきっと飽きさせませんね(笑)


ちなみに忠信の髷を結わいている元結をよくご覧ください。
オペラグラスでないと見えないかな?

狐忠信を表現して狐の耳の形をしているでしょ。

こんなところも知っていると楽しくなる歌舞伎のこだわりです(笑)