今年もあと2週間で大晦日、私も来年の1月の出演も決まりひと安心の年の瀬です(笑)

現在公演中の『新版 伊達の十役』もご好評を頂いておりますが、
このご時世でのダイジェスト版での上演は仕方ないとはいえ
お客様には少し物足りない様な気も致します。

と云って今の時代 コロナ禍でないとしても『伽羅先代萩』の「御殿」での
所謂、政岡の飯炊きと云われる場面が入る場合は長すぎると云われております。

鶴千代と千松の食事を台所方に任せると毒を盛られると云う背景を
お客様にお分かり頂くためにお芝居の中で政岡自身が米を研いで釜にかけ
御飯が炊けるまでをお芝居でつなぎます。

政岡と鶴千代 千松だけの「御殿」のお芝居を初めて御覧になる方は
おそらくとても長く感じられる事でしょうね。


茶道の所作を模した まま炊きの所作。

詳しい方は楽しめるものなのでしょうが、やはり難しいものです(笑)

その後に栄御前が登場するのですがそれまでにゆうに1時間はございます。
今では『伽羅先代萩』でもその場面をカットする事が多くなりました。

それでも栄御前の登場まで30分はあったでしょうか?



猿翁旦那は『伊達の十役』の「御殿」の中で毒だけではなく暗殺者として、
忍装束の嘉藤太を登場させ鶴千代の身が危ういと云う事を表しました。

政岡が嘉藤太を撃退したあと栄御前の登場となりますが、
それまでおよそ20分くらいですが見た目も変わりますね。



現在の『新版 伊達の十役』ではその短いバージョンよりさらに短く

嘉藤太さえ登場させず 政岡と鶴千代と千松とのやりとりが終わるとすぐに

侍女が栄御前の訪いを告げに参ります。

この間およそ15分で栄御前の登場です。

このように時代によって色んな方法で狂言が大事なところだけを残して
段々短くなっております。

先月の『花競忠臣顔見勢』もそう云った意味で、短いバージョンの「忠臣蔵」でしたね。

どうでしょう? 

今後、コロナ禍が収まったとして、果たして色んなお芝居の元の長いバージョンを
お客様は楽しんで頂けますでしょうか? 

短い時間にすっかり慣れられてしまったでしょうか。

私達も一日中楽屋に居続けるという生活からすっかり離れてしまいました。



昼夜興行の長い通し狂言 今後受けるかどうか? 

果たして、私がもつかどうか(笑)
ちょっと心配になって参りました(笑)