歌舞伎座『十二月大歌舞伎 新版 伊達の十役』のお芝居の中で
気がつくと面白いかな? と 云う話題をひとつ。

通の方は先刻ご承知かとは思いますし 以前にも書いたことがあるかも知れません


「御殿」の場で政岡(猿之助さん)と鶴千代が居る中 栄御前(中車さん)が登場する前に
八汐(巳之助さん)と沖の井(笑也さん)松島(笑三郎さん)が登場致します。

そして栄御前が七三まで来た時に、それぞれが名を名乗ります。

ここで八汐は「執権 仁木弾正が妹 八汐」と申します。

この「妹」と云う台詞、実は政岡を勤める人によって変わります。
つまり「姉」になることがあるのです。


姉となるのは 政岡を勤めている役者さんより上置きの役者さんが八汐を勤める時に限ります。

猿翁旦那が『伊達の十役』を勤めていた時、御殿の場で二代目中村鴈治郎さんや
三代目実川延若さんがゲストで出演してくださいました。

この時 八汐を勤められ「執権 仁木弾正が「姉」の八汐」と云う台詞になりました。
今月は巳之助さんの八汐ですから「妹」のままです。

こんな違いにも気がつくとお芝居がちょっと楽しくなります。

これから御覧になられる方は気を付けて聞いてみて下さいませ。