今月の歌舞伎座『天竺徳兵衛新噺 小平次外伝』のお芝居の中に 
殺された小平次が、殺した多九郎と女房おとわに 幽霊となって
復讐しに帰ってくる場面がございます。

 

小平次が現れ 驚いてうろたえる多九郎が神仏頼みで、仏壇に向かい念仏を唱え
「成仏してくれ、」と懇願する場面。
冷静に考えまして、自分が殺しに加担しておいて成仏してくれもないもんですが・・・(笑)


小平次の幽霊が現れた事を この時はまだ知らないおとわが 多九郎が突然仏壇に向かい
拝みだす様を見て「なんだなァ、あの男は 無性に念仏ばかり唱えて きざな男だ。」
と云う台詞がございます。


そりゃそうですよね、おとわはおそらく今まで 多九郎が
念仏など唱える姿など見た事がないのでしょう。


そこで「きざ」と云う言葉が出て参りますが 皆様この意味お分かりでしょうか?

よく嫌味な意味で紳士などに「きざ」という言葉を使いますが、
漢字で書きますと「気障」と書きます。 
つまり「気障りな奴」と云う意味です。

元々は「気に障る」=「心配する」と云った意味だったみたいですが、段々と
気取っているや、嫌味などのマイナスな意味が加わって来たようです。


辞書には、1 服装や言動などが気どっていて いやな感じを持たせること。
2、不快な感じを起こさせること その様。 と ございます。

なるほどと私も思いました。

 

また、江戸の遊郭で使われだした言葉(意味)だそうですので、
女性から男性の客をさして云った言葉です。
つまり、「きざ」という言葉自体が 男性に向けてしか使われないものなのだそうです。
「きざな女性」とか、「彼女はキザだね」とは使わないものだとか。
確かに使わないなあ とは感覚的には思いますが、語源を知りますと、さらになるほどです。


きざと云う意味をなんとなくは知っておりましたが いざ説明しろと云われると
どう云っていいか、わかりませんでした(笑)
今回は勉強になりました。

 

まんがの『おそ松くん』に登場する「シェー!!」で おなじみのイヤミさん

ある意味、この漫画を読んだ時にキザと云う言葉を知りましたので、
英語由来の現代語だとばかり思っておりました(笑)

昔からあるのですね。

どうしても言葉を聞いた時に、勝手に頭の中で カタカナで変換してました。

 

今までの猿翁旦那の時の『小平次』の場面では格別、意識もしておりませんでしたが
今月のお芝居で妙に引っかかり 思いがけなく調べる結果となったのは
よかったのかも知れませんね(笑)


当たり前のように「台詞」として喋っている言葉、聞いている言葉も、少し疑問をもって
調べてみますと、新しい発見があります。

そしてブログのネタにもなります(笑)
一石二鳥ですね。