朝のブログでも書かせて頂きましたが、今回の緊急事態宣言の期間が
どうも延長される見通しですね。

 

歌舞伎座の4月公演の一部休演につづいて5月公演の初日も延び、現在のところは12日初日。

さらにこの後、緊急事態宣言が延長されますと どうなるのでしょう・・・ 
また全休演にでもなったら昨年の3月の歌舞伎座や南座の『オグリ』などのように
演目だけ発表されて幻の公演となりかねません

 

 

第一部の松緑さんの『土蜘』に源頼光で猿之助さんもご出演のご予定です。

 

この『土蜘』 新古演劇十種の内となっております。

 

これは七代目團十郎が制定した市川家の歌舞伎十八番、
また同じく七代目團十郎によって制定され 九代目團十郎によって完成された
新歌舞伎十八番に対抗して、五代目尾上菊五郎がお家の當狂言として十種
制定されたものです。


ここで面白いのが七代目團十郎の歌舞伎十八番は荒事が主体ですが、
九代目團十郎と五代目菊五郎が制定した十八番と十種は、
全部ではありませんが、わりと舞踊系が多いのです。


新歌舞伎十八番では『船弁慶』『紅葉狩』『素襖落』『鏡獅子』等々、
また新古演劇十種では今回の『土蜘』の他 『茨木』『戻橋』『身替座禅』等々、
(身替座禅は後に六代目菊五郎が新たに加えられました。)


本来お家の芸と云うのはそのお家だけのものですが『勧進帳』や『鏡獅子』などの他
今では多数の演目も お家の枠を超えて誰もが勤めるようになりました。

 

昔は市川家以外の方が弁慶を勤める時は、十八番と打たない時もありました。

 

ただしその中に於いて猿翁十種、澤瀉十種などは おもだかやのお家の特徴があって 

他のお家の人は なかなか勤めにくい演目ですね(笑)

 

 

最近では尾上右近さんが「第五回研の會」で猿翁旦那の得意とする猿翁十種のうち
「酔奴」を上演されました。

確か猿之助さんもまだ勤められていないのではないでしょうか?
これはかなりの挑戦だったと思います。 次回は本公演で見たいですね(笑)


他に吉右衛門さんのあたり芸を集めた「秀山十種」
鴈治郎さんのお家の「玩辞楼十二曲」

あと宗十郎さんのお家の「高賀十種」

 

宗十郎さんとは何回もご一緒させて頂きましたが その舞台はおおらかで 

お役が大きく見え とても素敵な方でした。

 

最後の舞台は2000年(平成12年)12月歌舞伎座で好演された
高賀十種のうちの『蘭蝶』でした。

これらのお芝居ももう見られないのでしょうか?

 

宗十郎さんとは個人的にも よく麻雀や食事会などにも誘って頂き 遊んで頂きました。

もっとご一緒させて頂きたかったのですが 私ももう

宗十郎さんのご年齢を越えてしまいました(笑)

 

今日の写真はその宗十郎さんから頂いた湯呑です。

紀伊國屋の家紋「丸にいの字」が入っております。

 

一応は湯呑なのですが、私はお酒を冷でいただくときに
使わせていただいております。

これを使わせて頂くたびに宗十郎さんを思い出しております。

 

もうお亡くなりになってから20年も経ってしまいました。

ついこの間のことのように思います。