今月の歌舞伎座 『寿 初春大歌舞伎』の第3部では「菅原伝授手習鑑」の
「車引」の場面の三つ子の松王丸 梅王丸 桜丸を高麗屋三代の
白鸚丈 幸四郎丈 染五郎丈で勤めておられるのは珍しい配役ですね。


お芝居など通常は同年代の配役で上演される事が多いと思いますが、

歌舞伎に至っては 「曽根崎心中」のように親子での恋人役や 

「ヤマトタケル」の猿翁丈 段四郎丈みたいに ご兄弟での親子役など珍しくありません 

祖父と孫とでの恋人役もありますね(笑)


歌舞伎は年齢を越えてのお役を勤められる事が多いです。

 

 

先の「車引」の場面がある『菅原伝授手習鏡』ですが 題材としては
菅原道真の時代は平安時代ですが、この作品が書かれたのは江戸時代。

ですからもちろん 創作の物語であります。

 

江戸時代、双子さえ不吉と云われていた時代に 三つ子が題材と云うのは
これだけで悲劇を予感させるお話となっております。

 

双子の物語に山手樹一郎さん原作「桃太郎侍」と云う小説がございます。

 

ある大名のお家に双子が生まれ 次男は不吉として殺される運命を
乳母が必死に連れて逃げ 江戸のぼろ長屋で暮らしながら剣術、礼儀を教え
やがては長男のお殿様がお家騒動に巻き込まれて瀕死の重態の時に
弟がそれを助けに行くと云う物語です。

 

昔テレビで放映された時の桃太郎とお殿様は、菊之助時代の尾上菊五郎さんの二役でした。

とても面白かったのを 覚えております。

 

ちなみに後年放送された高橋英樹さんの「桃太郎侍」は
途中のお話の悪人を退治する場面だけを抜き取ったもので
ストーリーはほとんど関係ありません(笑)

 

お話がそれました(笑)

 

 

三つ子のお話ですが現在は母親から生まれた順に長男 次男 三男ですが
昔は母体から一番後に生まれた子が長男とされる事もありました。

これは母親の体の中に一番長く居たと云う理由からだそうです。

 

はっきりとした定めは、明治になってからだと云う事ですから、

先か後か、弟か兄かで 大きく人生も変わった事でしょう。

 

時代によって長男 次男 三男が代わると相続の問題など色々と大変です。

侍社会では、昔は長男が総領 長男が勘当にでもならない限り 次男三男はどこかへ養子に行くしか
生きていく道はなかったみたいです。


ややこしい事ですが、ご観劇の時にはそんな事は考えないで 

ま、純粋に歌舞伎をお楽しみください(笑)

 

 

ちなみに私は、昔々の若鮎の会で、梅王丸を勤めましたが、先日の上げ浚いでは、

桜丸を勉強させて頂きました。

 

もし、松王丸をどこかで演じさせて頂く事がありましたら、三兄弟コンプリートですが・・・

そんな日は来るでしょうか?

また、全部やった方は どのくらい居られるのでしょうね。

気になります。