昨日は、十月歌舞伎座公演の中の『梶原平三誉石切』のお話を書かせて頂きました。
今日は同じく十月公演の中の第2部『双蝶々曲輪日記 角力場』のお話です。

2日が初日ですね(笑)

 

 

今月は大相撲でも関脇正代関が大活躍され 今日、大関昇進が決まりました。

私も応援しておりましたが 毎日ハラハラしておりました。

特に千穐楽、若手の翔猿(とびざる)関との一番は ドキドキしました。

 

正直、翔猿関も翔の会と猿の文字が入っているので応援していたのですが・・・。

結果は土俵際 すんでの処で正代関の勝ち、本当にいい一番でした。

 

歌舞伎では相撲を扱った作品が少なくありません

錦絵などにも登場する歌舞伎と角力は やはり花形だったのでしょうね。

 

そして『双蝶々曲輪日記』の主人公も二人 その一人は大関の濡髪長五郎で
押しも押されぬ飛ぶ鳥を落とす勢いの関取。

 

その長五郎のご贔屓 山崎屋の若旦那、与五郎は遊女吾妻に入れ込んでおります。

 

ところがこの吾妻を巡っては屋敷の侍 平岡郷左衛門も横恋慕をしております。
この平岡が贔屓にしているのが素人相撲の放駒長吉。

 

もう一人の主人公がこの放駒長吉で、長五郎と長吉、二人の「長」の字から
「双蝶々(ふたつちょうちょう)」と名前にかけてあります。

ご存知でしたか?

 

この二人の勝負、大一番の末 放駒長吉が勝ちを治めます。 


ですが、濡髪長五郎は長吉に土俵上でわざと負け、そのかわりに平岡に吾妻から
手を引いてもらおうと画策していたのです。

 

わざと負けた後 その頼みを放駒長吉に打ち明けるのですが、
真剣勝負で相撲に勝ったと思っている長吉は納得しません

そりゃそうですよね。八百長ですもの・・・。


一時期 大相撲でも八百長相撲が問題になった事がありましたが、
今ではどの相撲も大熱戦で真剣勝負です。


現在の最高位「横綱」は江戸時代には存在しないそうで
大関の中の別格の力士のつけている化粧まわしが横綱なんだそうです。

 

 

今回はこの『角力場』だけの上演ですが、この後のお話は 吾妻を無理やり

連れ浚おうとした 平岡郷左衛門ともう一人の侍を 濡髪が殺してしまい、

お尋ね者となってしまいます。

 

それを助けるのが事情を知った放駒長吉と異母兄の同心 南方十次兵衛。

と聞きましたら、おそらく場面が浮かぶ方も 多い事でしょう。

こちらの演目も解説したいところですが この後のお話はまた次の場面が

上演された時にでも・・・(笑)

 


1997年(平成9年)2月18日~23日に国立劇場での猿翁旦那主催の春秋会公演、
『双蝶々曲輪日記』の通し狂言が上演された事がございました。

 

その折には、私がこの平岡郷左衛門のお役を勤めさせて頂きました。

横恋慕した上に殺されてしまうお役ですが・・・(笑)

 

もちろん猿翁旦那の放駒長吉と南方十次兵衛。 濡髪長五郎は段四郎さん

これもまた懐かしい思い出です(笑)

 

通しての上演はあまりありませんが『角力場』と『引窓』の上演はわりとありますので

機会がございましたら ぜひご覧下さいませ。

 

先ほどの問題、『角力場』の次の場面の名前が出て来ず、イライラしていた方、

答えは『引窓』です。スッキリしましたか?(笑)